こんなところにイワキです
 仙台名産「笹かまぼこ」の名づけ親「阿部蒲鉾店様」で働くポンプ・前編

【お客様事例】株式会社阿部蒲鉾店様

このコーナーでは、様々な分野で使われているイワキのポンプの中から、「え?こんなところに?!」と思っていただけるポンプの現場にスポットを当て、いろんなシーンで活躍するポンプをご紹介しています。

仙台名物といえば、牛タン、七夕、そして笹かまぼこ! 今回、イワ気になる隊が目指したのは、宮城県は仙台市に本社を構える笹かまぼこの老舗中の老舗、阿部蒲鉾店様。おいしい蒲鉾をつくる現場に、イワキのポンプが頑張っているという話を聞きつけ、一路北を目指します。

今は誰もが「笹かま」と略して呼んでいますが、ご存じでしょうか? 実はこの「笹かまぼこ」という名前は、阿部蒲鉾店様が名づけの親だということを。そして、阿部蒲鉾店様がいなければ、今の笹かまはなかったかもしれないということを! どんな「笹かまドラマ」があるのか、今回もイワ気になる隊、渾身のレポートをお届けいたします。

 

かまぼこ一筋80余年。老舗が誇る笹かまづくりの心意気

阿部蒲鉾店様の創業は昭和10年(1935年)10月10日。「阿部蒲鉾店」として、仙台の地に誕生しました。創業者は阿部秀雄氏。現在の社長、阿部賀寿男(あべかずお)氏の祖父にあたります。かまぼこ一筋80余年。実は練り物好きが集まる「イワ気になる隊」。笹かまの長い歴史を知れば知るほど、さらなる「笹かま愛」が芽生えてきます。お土産に絶対買って帰ろう! 固い決意を胸に秘めたあたりで、阿部蒲鉾店泉工場に到着いたしました。入り口にどーんと輝く「厚生労働大臣HACCP・ISO22000認定工場」の文字! この辺りのこともたっぷりお聞かせいただきましょう。

今回、お忙しい中、取材に快く応じてくださったのは、佐々木由徳工場長、生産部 永野登部長、同じく生産部 渡邉正広次長のお三方。そして今回の調整役を買って出てくれたイワキ仙台支店の武田文隆参与と柳沼浩三参事の2名が現地特派員として「イワキ気になる隊」に加わり、なかなかの人数での突撃取材は始まりました。

ご挨拶を済ませ、まずはお茶でもとすすめられたイワ気になる隊。あら、ご丁寧に綺麗なお茶菓子まで・・・と思っていたら、なんと笹かまではありませんか! さすがは老舗、なんという粋な計らいでしょう。

「多くの人は冷蔵庫から出して、ひゃっこい状態でパクッといっちゃうでしょう。もちろんそれでも美味しいんだけど、お湯でさっと湯がくと、もっと美味しくなるんですよ」

と永野部長。いきなりプロの技を伝授していただきました。ベストタイムは熱湯に入れて40〜50秒。それ以上茹でると硬くなってしまうそうです。「レンジでチンでももちろんいいけど、俺は湯がいた方が柔らかくて、好きだなぁ〜」プロのご意見、大いに参考にさせていただきます。

いただいたのは、スタンダード笹かまのナンバーワン「阿部の笹かまぼこ」。しっかりとした歯ごたえと、魚のすり身の優しく自然な風味が美味しすぎて、あっというまに完食です。

「うどんの歯ごたえは“こし”って言いますよね。このうどん、こしがあるねぇ〜って。かまぼこの場合は“あし”っていうんです」と、またもやプロならではの用語を教えてくださったのは、阿部のかまぼこづくりの要、渡邉次長。しっかりしているかまぼこは「あしがある」、水っぽい感じのものは「あしがない」と言うそうです。初耳〜。

「ついでに言うと、わたしらは魚のすり身のことを“肉”って言うんですよ」

ええ〜っ、魚なのに肉〜?! こちらももちろん初耳。というか、こんな話、他ではなかなか聞けません。これからは「阿部の笹かまは“あし”があって美味しいねぇ」「なんといっても“肉”の質がいいからね」なんて感じで、自慢げに使っていきたいと思います。

かまぼこ職人の「技能」は国家資格

_その「あしのあるかまぼこ」づくりの秘訣は何でしょうか?

さっそく教えていただいた専門用語を使ってみました(笑) みなさん、知っていましたか?かまぼこは、誰でも作れるものではないことを! 難関の国家資格「水産ねり製品製造技能士」を持っていないと、かまぼこづくりに従事できないんです。

「うちには1級・2級の技能士が30名以上います。1級は3名。試験官の資格を持っている職人もおります」

というのは、佐々木工場長。試験は3年に1回行われ、時間内に魚を3枚におろしたり、指定されたかまぼこを形成したり、肉(すり身)の品質を判定するなど、項目は多岐に渡ります。特に1級は超難関だと言われているのですが、3名もいるなんて、さすが阿部かまさん!

「みんな仕事が終わってから2〜3時間、勉強していますよ。まぁ、仕事そのものが毎日勉強ですけどね」

ちょうど試験が行われるのは、繁忙期が過ぎた頃だそうですが、職人のみなさんのたゆまぬ努力が、阿部の笹かまの変わらぬ味を支えているんですね。

阿部蒲鉾店の工場は、100%オートメーション化はせず、主要な行程は人の手で行なっています。

「機械だって、誰でも使えるものではないんです。配合の分量や塩を入れるタイミングなど、身体で覚えていかなくてならないことがたくさんあります」

うなぎの蒲焼職人は「串打ち三年、割き八年、焼き一生」などと言われますが、かまぼこ作りの場合は「すり10年」。魚を卸していい塩梅に配合するには、最低10年はかかるそうです。それ以前に、どういう段取りで職人たちは作業していくのか、その流れを身体にたたき込むことが大切だと言います。

「最初に覚えてもらうのは“洗い”です。魚を洗い、道具を洗い。修行の道は洗いから、です」

職人技を支える最新設備 HACCP・ISO22000の認定工場

そんな「技」の伝承を、影となり日向となってささえているのが、導入されている最新システムです。阿部蒲鉾店さんは、平成17年(2005年)11月にHACCP (ハサップ=総合衛生管理製造過程)を取得。その翌、18年(2006年)の8月には、自主的な衛生管理体制を評価する「仙台HACCP」の認証を受けました。今、阿部蒲鉾店さんの全商品には、HACCPマークがついています。さらに、2013年3月、食品安全マネジメントシステム「ISO 22000:2005」の認証をうけ、衛生管理に対する万全の体制を整えています。

「HACCPを取るのに10年はかかりましたか。専門家の指導を受けながら、専門チームを作ってね、細かいチェック項目をひとつひとつクリアしていって・・・」

実感がこもっていますね。これも経験者ならではのお言葉でしょう。HACCPでは原材料や包装資材の調達に、設備、製造、保管、流通、生産管理など、全ての部門ごとに作られた管理システムです。たとえば、金属探知機による異物混入チェックや、作業中の肉の温度から、冷蔵庫の中の温度まで、徹底した管理体制が整っています。

「誰が何時何分になんの作業をやって・・・というように、すべて文書に残しています」

_わぁ〜、大変ですね。職人さんたちのご負担も大きかったんじゃないですか?

「まぁ、いろいろありましたけど(笑)、それもこれもみな、お客様に安心して食べてもらうためですから。やって当然だと思っていますよ」

「いくら腕が良くたって、衛生的に問題ありじゃ何にもなりません。美味しくて当たり前。安全で当たり前。その当たり前を突き詰めたらこうなった、ってことでしょうか」

素晴らしい!  阿部の蒲鉾に一切妥協なし! この心意気に、「イワ気になる隊」、全員その場でノックアウトです。

地元のために、「笹かま」のために

ん? なにやら背中が・・・と思って振り向くと、大きなセピアのお写真が。創業者である阿部秀雄です。端正なお顔立ちですね。優しさの中にも凛としたものを感じます。

「私も初代社長のことはよく知らないのですが・・・」というのは、渡邉次長。新入社員の頃から伝え聞く社長像は、ものすごい働き者で365日休みなく、くるくると動いていたそうです。よく作業着を着てはみんなに混ざって作業をし、気づけば隣に社長がいてびっくり・・・なんてこともよくあったそうです。

「笹かまを焼く機械を作ったのも初代社長です。でも、多くの人が使えるようにと、特許などは一切取らなかったんです。それが地元のためになればと」

「笹かまぼこ」という名前も、そのときに考案したとか。昔々、「ベロかま」とか「木の葉かま」など呼ばれていたそうですが、仙台藩主伊達家の家紋「竹に雀」の笹にちなんでつけたと言われています。

「ある大手企業が「笹かま」を商標登録したときにも、笹かまは仙台のブランドだ。頼むから仙台の蒲鉾業者に名前を使わせて欲しいと、初代が直々にお願いしに行って、今も使えるようになったと、伝え聞いています」

おお、そんなドラマが! 笹かまは初代の熱い想いの結晶なんですね。まさに笹かま伝説!

そんな阿部蒲鉾店さんの地域への想いは、今もホットなまま、形を変えて受け継がれています。

_ユニフォームが飾られていますが・・・・

「こちらはサッカーJリーグのベガルタ仙台のユニフォームです。2009年からスポンサー契約しているんです。他にも野球の東北楽天イーグルス、バスケットの仙台89ERSなどへも協賛しています」

ちなみに、ベガルタレディースの齊藤彩佳選手は阿部蒲鉾店さんにお勤めです。残念ながらお目にかかることはできませんでしたが、仕事とスポーツの二足のわらじを立派に履きこなしているそうです。会社まるごとで応援してくれるなんて、素敵すぎます。

http://www.nadeshikoleague.jp/club/vegalta/

_地域貢献といえば、311の震災のときも大変だったのではないですか?

場所によってはまだ街中でも傷跡が残る仙台ですが、そのときは本当に大変だったそうです。

「幸いにもここは津波の被害もなく、自家発電もすぐに復活したので、冷蔵庫が使えたんですよ。とにかく食べ物がないという話を聞いて、「ありったけのもの、ぜんぶ出せー」と、会長命令がとびましてね。冷蔵庫にあるありったけの蒲鉾を持って、避難所へすっとんで行きました」

「ほら、うちの商品って、個別パックになっているから、手が汚れていても平気だし、すぐ食べられるでしょう。重宝されました。うれしかったな〜。おいしいってね、そのときのみなさんの顔は、生涯忘れられないでしょうね」

いい話ですね。溢れる地元愛が迅速な行動を起こし、その気持ちがみんなに伝わって、さらに強い地元愛へと膨らんでいく・・・阿部蒲鉾店さんの愛の深さに、イワキも学ぶところはいっぱいありますね。

そんな素晴らしい阿部の蒲鉾づくりに、イワキのポンプはどんな働きを見せているのか?

いよいよ本題に切り込みます! この続きは<後編>で♪ どうぞお楽しみに〜。

株式会社阿部蒲鉾店

会社創立

1935年10月

工場稼働

1964年12月

所在地

宮城県仙台市青葉区中央2丁目3番18号

オンラインショップ

https://www.abekama.co.jp/shop/