このコーナーでは、様々な分野で使われているイワキのポンプの中から、「え?こんなところに?!」と思っていただけるポンプの現場にスポットを当て、いろんなシーンで活躍するポンプをご紹介しています。

メルマガ編集部こと「イワ気になる隊」は、仙台名産「笹かまぼこ」の名づけ親にして、仙台が誇る蒲鉾店の老舗、阿部蒲鉾店様に突撃! 前編では、かまぼこにかける熱き想いの数々を聞かせていただきました。いずれも素晴らしきかまぼこ愛、そして地元愛!あふれるお話でしたね。≪仙台名産「笹かまぼこ」の名づけ親で働くポンプ ・前編 ≫

それでは、お待たせいたしました。いよいよここからが「イワ気になる隊」の腕の見せ所。イワキのポンプについて、切り込んでまいります。かまぼこづくりの現場で、イワキのポンプはしっかりとその役目を果たしているのか? 阿部蒲鉾店様突撃レポート、後編、スタートです。

イワキとの出会い

前編でも触れたように、阿部蒲鉾店様は、現在でも100%オートメーション化はしておりません。かまぼこづくりには、職人の手でしかできない作業があるからです。阿部のかまぼこはすべてA級グレード以上のすり身を使っており、その食感を決める「裏ごし」の工程はとても需要です。

詳しくは阿部蒲鉾店さまの公式サイト内コンテンツ「他との違い」をご覧ください。

「すりつぶした大量の肉(さかなのすり身)を裏ごし機にかけ、出て来たものを大きなスコップを使ってタンクへ移動させるのですが、その作業が腰にくるんですわ。一度に200キロくらい、運ばなくてはなりませんから」「しかも、うちは保存料などは一切使っていないので、素早く、ムダなくやらなくてはいけません」

そこで、その作業を自動化してはどうか、ということになり、ポンプの導入に踏み切りました。しかし、最初に使ってみたポンプでは、どうもうまくいかない・・・そこで「ワーケシャーポンプがいい」という話を聞いて、探すことにしました。

「そこで出会ったのがイワキさんなんです。当時は、イワキさんが代理店としてそのポンプを扱っていたんです。確かアメリカ製のワーケシャーポンプでしたね」

ポンプの導入により、重労働から解放された職人さん。イワキは職人さんたちの大事な「腰」を守るお手伝いができたのですが、しばらくすると、また新たな問題が発覚しました。それは、裏ごししたすり身の中に混ざり込む魚の皮を、簡単に取り除けないことでした。

「裏ごししても、たまに大きな皮が混ざってしまうことがあります。人の目ならば、すぐに気づいて、その場で取り除くことができたんですが、ポンプではそれができなかったんです」

他にも、移送の配管の中にすり身が残ってしまったり、改良が必要なところがいくつかありました。

そこで、「どうにかならないか?」とイワキさんに相談したところ、担当者がすぐにかけつけてくれたのです。現場の方の話を熱心に聞きながら、「こうしましょうか」「こっちの方がいいですかね?」と、試行錯誤を繰り返した結果、ストレーナーに“二重の網”をつけて、異物を取り除くことで解決しました。

「作り手の気持ちを察しながら、あれこれと提案してくれて、本当に助かっています」

そう言っていただいて、私たちもうれしいです。

今は笹かまの工程だけにポンプを使っているそうですが、「それだけだとえらい高い機械になっちゃう(笑)」という正直なご意見も飛び出し、今後は他のネタづくりにも、ポンプを導入していきたいとのこと。こちらからもぜひお願いします! イワキの技術がたくさんのかまぼこづくりに活かされることは、私たちにとっても大きな喜びですから!!

ある日突然、事件は起こった・・・

いくら丈夫なポンプシステムでも、機械である以上、調子が悪くなることも、壊れることもあります。20年以上も “故障知らず”だったイワキのポンプも、ついに不具合を起こしてしまいました。

それは2016年の年末のことでした。ある日突然、オイルシールから肉が漏れ出してしまったのです。「いや〜、あの時は本当に焦りましたよ。今思い出しても、冷や汗がでてきます。自分たちではどうすることもできず、急いで仙台支社に連絡したところ、すっ飛んで来てくれたのが、営業の柳沼さんでした。長年ポンプを使ってはいますが、私たちは機械の素人。パッキンを外して洗浄して・・・ということはできますが、不測の事態が起きたら、もうお手上げです」

よりによって年の瀬も押し迫った時期です。このポンプが動かなかったら、納品が間に合わない・・・そのときの皆さんの心境たるや、想像するだけでこちらがドキドキしてきます。ポンプの状況を見て、これはもう部品を交換するしか方法がないと判断した柳沼は、いそいで仙台支社にトンボ返りし、ストックしてあった予備品一式を持って、再び泉工場へ。そして問題の部分を交換し、なんとかことなきを得ました。

「あの予備の部品がなかったら、もうアウトでしたね。モーターごとそっくり取り替えるしか手立てがないので、ものすごいおおごとになりますから・・・。あの時は本当にお世話になりました」

いえいえ、そう言っていただけて、こちらとしてもうれしいです。不測の事態に備えて、部品をストックしておくことも、メンテナンスの業務の一つです。私たちは普通に、真面目に、それをやってきたことで、お客様をピンチからお救いすることができた。これは私たちにとってもかけがえのない経験となりました。イワキからは「分解点検講習会」の開催をご提案し、今後、3ヶ月に一度のペースで開催することになっています。

「今の若い人は、グリスってなんだか知らない子もいるんですよ。時代ですかね。でも、教えてあげると一生懸命メンテナンスしてくれていますよ」「講習会には期待しているんです。先日、機械にとっても詳しい人が退職されたこともあって、作業に携わるみんながポンプのことを知っておく必要性を、ひしひしと感じているので。」

すばらしいですね! 我々イワキも、皆さんに安心して使っていただけるよう、最大限の努力を続けます!素敵なお話をありがとうございました。今、こうして笑顔でお話いただきましたが、その場は本当に大変だったと思います。そんな難関を一緒に乗り越えてきたからこそ今がある。そしてお客様との絆がさらに深まったことに、改めて感謝の気持ちがいっぱいになった気になる隊でした。

それでは「働くポンプたち」を実際に見せていただきましょう。工場見学へGO!GO!GO!

社会科見学気分で、かまぼこづくりの現場を視察

今回見せていただいたのは、工場見学コース。地元の小学生を中心に、一般の方も見学できるコースです。2階からガラス越しに1階の工場を見下しながら歩いていくのですが、さすがは考えつくされた見学コース、すり身を作る石臼や、かまぼこの木枠などの展示品、お魚&かまぼこのことがよ〜くわかるパネルや写真が、ところ狭しと並んでいました。もちろん、ガラスも床もピカピカです。

あっ! 蒲鉾技能士のお名前が、顔写真つきで掲示されています。1級3名、2級27名。計30名の輝かしいお名前です。彼らが今の阿部のかまぼこのおいしさを支えているんですね。

この石臼で50kgのすり身を練り合わせます

笹かまぼこは、魚の身をすりおろすところから始まり、水さらし→練り合わせ→笹の葉型に成形→焼き上げ→包装という過程を辿り、約2時間で出来上がります。まずは、その工程のすべてを、写真を見ながら水野部長、渡邉次長直々にレクチャーしてくださいました。なんて贅沢なんでしょう!

見学コースの展示写真より

阿部蒲鉾店様のすべての商品は、原料となるすり身の状態から、包装して店頭に並ぶまで、一度も外気に触れないのが特徴です。徹底した品質管理のもとで作り出される笹かまは、なんと!1日に約10万枚! 多い時には30万枚もの笹かまが作り出されているそうです。

10万?30万・・・?! あまりのスケールの大きさに、気になる隊、しばし頭の中で数字がぐるぐるしてしまいました。

この工場見学コースでは、かまぼこの成形・加熱・冷却のラインと、その前後の工程の一部が見学できます。見せ場はなんといっても、1枚1枚、お行儀よく並んで加熱釜へと入っていく「笹かま焼き上げ」の工程です。まるで楽しく行進しているみたいで、いつまででも見てられる〜と、イワ気になる隊一同、くぎづけになってしまいました

ここで3〜4分かけて焼き上げたあと、素早くフリーザーで冷やしてから、包装へ。焼き加減、時間、冷やす温度が、おいしい笹かまを作るコツなんだとか。もちろん原料の良さは言うまでもありませんが、昔はこの焼き上げに使う串さし、串抜きも手作業だったそうですよ。歴史を感じますね〜。

イワキのポンプは何処に?

イワキのポンプが活躍しているのは、主に「練り合わせ」の工程です。かまぼこづくりにおいては、最初の方ですね。私たちが見学した頃には、すでに練り合わせの作業は終わっており、お掃除にとりかかっておりました。この清掃作業もかまぼこづくりの大切な工程のひとつ。じかをかけて丁寧に、機械や道具の隅々まで洗浄を行うそうです。

「ちょっと見えづらいと思いますが、イワキさんのポンプは、あのガラス戸の向こう側の、ちょうど今、洗浄している社員の後ろあたりにあるんですが・・・」

一生懸命写真を撮ろうと試みましたが、残念ながらアングル的にちょっと厳しく・・・。残念ながらカメラのレンズではうまく抑えられませんでしたが、この目で確かに存在を確認いたしました!

実際に現場で働く方のお話を聞きながら見る笹かまづくりの現場は、想像以上に整然としていて、美しさすら感じました。この清潔で機能的な工場で、あの美味しいたちはうまれているんですね。そこにイワキの技術がお役に立っているのだと思うと、感無量です。これから阿部のかまぼこを見るたびに、この感動を思い出すことでしょう。貴重な体験を、ありがとうございました!

いざ、阿部蒲鉾店様、本店へ!

笹かまづくりの全貌をしっかりと見せていただいたあとは、笹かま販売の現場へGO! 仙台市青葉区のクリスロード商店街にある阿部蒲鉾店 本店にお邪魔いたしました。看板の文字が右から左へ並ぶあたりに、長い歴史を感じますね。

店内をご案内くださったのは、店長の菊地さま。スタイリッシュでありながら、木のぬくもりを感じる店内に、美味しそうに並ぶ笹かまたち。ディスプレイのセンスの良さに、イワ気になる隊一同、取材であることを忘れて、買い物スイッチが入りそうになりました(もちろん取材終了後にはお土産にたくさん買って帰りました!)。

ご案内いただいた店長の菊地様

それでは阿部蒲鉾店様の「スターたち」をご紹介いたしましょう! まずは、取材のときいただいいた売れ筋NO.1の「阿部の笹かまぼこ」。そして、ちょっと贅沢。プレミアムな「吟醸笹」。こちらには天然真鯛が入っています。続いて塩分30%オフの「減塩タイプ」も、最近注目度上昇中。塩分を減らしながらも日持ちするように配合するのが、大変難しかったそうです。

そして、「しそ」と「チーズ」を練りこんだ「笹たより」に、とろけるような食感がクセになる丸くて可愛い「チーズボール」。そして、野菜と魚介の具材がたっぷり楽しめる揚げかまぼこ「菜ころん(さいころん)」も注目です。具材は、イカ(※)、タコ、れんこん、たまねぎ、しいたけ(※)、みそネギ、豆腐ひじき、きんぴら、むきえびの現在8種類です。イカは9月頃に生産休止になります。※しいたけは、生産休止中です。

他にもひなまつりやこどもの日、七夕に結婚式のお祝いから、最近ではバレンタインデーまで、季節限定品も楽しい阿部の笹かまぼこ。まずは阿部蒲鉾店の公式サイトでチェックしてみてくださいね。オンラインショップもありますよ〜。

オンラインショップはこちら>https://www.abekama.co.jp/shop/

最後に・・・仙台藩祖 伊達政宗公へご挨拶

すっかり阿部の笹かまぼこの魅力にノックアウトされたイワ気になる隊。すっかり仙台ファンになりました。仙台といえば、この方お方、伊達政宗公です。こんなに素敵な体験をさせていただいたお礼にと、伊達家藩主三代の御霊が眠る瑞鳳殿(ずいほうでん)へ。仙台取材最後の訪問地です。

2007年に改修が行われ、政宗、忠宗、綱宗それぞれの霊廟は、豪華絢爛な美しさが色鮮やかに蘇っておりました。そぼ降る雨の中、しんと静まりかえったお庭の中はタイムスリップしたかのような異空間。雨露に濡れた木々の青さが心に染み渡ってきます。

あ〜、仙台って素敵なところだな〜。また仙台に来られますように。

そして阿部蒲鉾店さまのますますの繁栄をお見守りください(-人-)

それぞれの感謝を胸に手を合わせ、仙台を後にした「イワ気になる隊」でした。

 

株式会社阿部蒲鉾店

会社創立 1935年10月
工場稼働 1964年12月
所在地 宮城県仙台市青葉区中央2丁目3番18号

 

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