このコーナーでは、イワキの技術力が支える様々なジャンルをご紹介しつつ、その製品が使われている分野が意外なほどに広いということをお伝えしているのですが、なんと!今回は、イワキのポンプを実際にお使いいただいているお客様のもとへ突撃取材を敢行してまいりました (#^^#)

なにしろ、ポンプという製品は「陰ながら働く」宿命を持っているものでして、実際に「動いているポンプ」を目のあたりにする機会は意外なほどに少ないものです。さらに、企業様にとっても、製造ラインは大事な心臓部ですから、できれば公開したくないもの・・・そんな事情もあって、「働くポンプ」の姿を見られる機会は、極端に少ないのでありました。

当社でも「イワキのポンプを使っています」と手を挙げていただけるお客様をかねてから探していたのですが、つ、遂に! 快く取材をお受けいただける企業様が現れました。それが今回の取材先、株式会社プレテック様です。メルマガ編集部こと「イワ気になる隊」は、あふれんばかりの感謝の気持ちでいつも以上に気合を入れ、プレテック様本社のある東京都府中市へと向かったのでありました。そんなわれわれを笑顔で迎えてくださったのは、技術開発部参事の村山様です。


── 今回は取材にご協力いただき、本当にありがとうございます! まずは、あらためて御社のお仕事内容と、ポンプを何にお使いかを教えていただけますか?

技術開発部参事の村山様

エアー駆動ベローズポンプ FA-40

「プレテックは、主に半導体の製造装置をつくっている会社です。その装置の「ウエハー洗浄」の工程で、ポンプが必要になってくるわけです。イワキさんとのお付き合いはかれこれ20年ほどになると思いますが、最初のうちはエアー駆動ベローズポンプの「FA-40」を多く使っていたと思います」

── いきなりですが、実際にイワキのポンプをお使いになっていかがでしょうか?

「ご存じのように、半導体装置の中には大量の部品が使われているわけですが、その中のたった一つでも異常があると装置は正常に動かなくなってしまいます。つまり、うちが装置を納めた会社様の業務に支障をきたしてしまうわけでして、我々としてもそれが一番避けたい状況なんです。ですから、簡単に“壊れない”ことを条件に使う部品を選んでいるわけですが・・・イワキさんとの長い歴史の中には、いろいろありました・・・・・・」

── 「いろいろ」とおっしゃいますと? 妙に気になりますが(笑)。

「ある時、トラブルのあった現場に同行してもらったことがあるんです。何らかの原因でポンプが動かなくなってしまったのですが、お客様の目の前で『使い方に問題があるのでは?』と怒られたことがありましてね・・・」

── それはそれは、言いにくいお話をありがとうございます。

「私もまだ若かったんで、一瞬“カチン”と来たのをおぼろげに覚えていますが(笑)、今になると、『再発を防止したい』という気持ちから出た発言であることがよくわかるんですよ。われわれが一番困るのは、お客様のラインを止めてしまうことですから、「壊れたから直します」「すぐ交換します」という作業だけで終わらせてしまい、そのトラブルは何が原因で起こったものかを追及しないと、また同じような現象が起こる可能性が高く、さらにご迷惑をおかけすることになるわけです」

── イワキには「原因追及」の姿勢があったということでしょうか?

「はい! どちらかというと技術屋特有の“上から目線”ではありましたが(笑)、半導体洗浄には様々な薬液を使うので、ケミカル的な知識やノウハウの蓄積がないと、解決できない問題も多いんですよね。かなり前ですが、マレーシアに輸出した装置の中のポンプにトラブルがありまして、その時はシンガポール支社からイワキマンが駆けつけてくれて、すみやかにベローズを交換した後、液洩れテストを行い、その後、実際に装置を一昼夜試運転して、問題がないのを見届けてくれたことがありました」

── いろいろご迷惑をおかけしてきたようですが・・・それでもイワキのポンプを使い続けていただけた理由はなんでしょう?

「われわれの仕事は、そのポンプを選んで買った人間と、それを実際に使う人間が別だという特徴がありまして、イワキさんは実際にそのポンプを使っているお客様に、ポンプの構造の説明から熱心にしてくれたりするあたりでしょうか。それこそ最初のうちは、イワキの工場を訪問して、ああだこうだと議論を交わしたこともありましたが、その過程の中で、パートナーとしての信頼が生まれていったのかな? 最近はそういった機会もほとんどなくなったんで、かえって物足りないくらいですよ(笑)」

── つまり、ポンプのトラブルがなくなったということですか?

エアー駆動ベローズポンプ FW型

「イワキさんからハイスペックのポンプを使って欲しいと提案されて、『FWシリーズ』に切り替えてから、めっきりトラブルは減りましたね。中にはお客様から『壊れてはないけど、まわりが錆びてきたから、そろそろ取り替えたほうがいいですかね?』などと聞かれることがあるくらいです(笑)。じつは、手の内を明かしてしまうと、常にポンプの性能をめいっぱいを使わないで、HQ曲線(性能曲線)の60~70%のあたりで稼働させておくと、製品寿命が倍以上に伸びることに気がついたんですよ。これが結構大きかったんじゃないかな」

── なるほど! それは素晴らしいですね。最後になりますが、広い意味で今後の「半導体プロセスポンプ」に望むことがあればぜひお聞かせください。

「ズバリ! 脈動のないベローズポンプでしょうか。洗浄薬液の交換には、最大圧力で0.5MPaもかかるので、特に吐出配管が脈動するとトラブルの原因になるわけです。トラブルを未然に防ぐ、そう人間で言うなら『未病』のような視点がポンプ屋さんにもあるといいのかな、なんて思いますけど・・・」

ダンパー不要で低脈動を実現し、トータルコストの削減に貢献
エアー駆動低脈動ベローズポンプ FLPシリーズ

── 貴重なご意見をありがとうございます。最後と言いながらもう一つ(笑)、イワキのブログでよく見ていただいているコーナーなどありますか?

「一番好きなのは『三春の春』ですね。東北福島の梅や桜の写真は、きっと海外の人が見ても楽しいんじゃないかな。私も毎年楽しみにしていますよ!」

── ありがとうございます! ご愛読いただけて、とても嬉しいです。本日お伺いしたお話は、ブログの『こんなところにイワキです』のコーナーに掲載させていただくのですが、やはり実際に半導体の製造装置を見せていただくわけには・・・いかないですよね?

「いや、ここは本社だから、ここにはないよ。工場は静岡の焼津だし・・・遠いでしょ?」

── いえいえ、実際に働くポンプを見せていただけるのでしたら、どこまででも参ります!

「それじゃ、静岡製作所に話してみようか?」

そんなお優しい村山様のご配慮で、「イワ気になる隊」は、株式会社プレテック様静岡製作所にお邪魔できる運びとなりました。気になる続きは≪後編≫でお届けしたいと思いますので、次号をお楽しみに♪

お忙しい中、快く取材に応じていただいた村山様、本当にありがとうございました<(_ _)>

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