イワキ創業40周年の社史をもとに、イワキの歴史を紐解いていくこのコーナー。文字通り「ポンプに賭けた」男たちの熱いドラマを、お伝えしていきます。

難航を極めたアメリカの総代理店探し

前回は、イワキが再びアメリカで新しい代理店探しを始めたところまでをお話しました。アメリカでの最初の代理店であったイースタン・インダストリーズ社が、親会社の方針でケミカルポンプを扱わなくなってしまったためでしたが、その経験を糧に、今度は「総代理権を設置しない」という方針を立てたのでした。しかし、この条件が足かせとなって、アメリカでの総代理店探しは難航を極めることになりました。

やがて、いくら頑張っても見込みがないと感じた貿易部の樋口と上司の上條は一旦帰国することにしましたが、それでも上條は特定の会社に総代理権を与える気はありませんでした。そこで、なんとかならないかと知恵を絞って考え出したのが「製品別の総代理店にする」という案でした。定量ポンプの総代理店、渦巻きポンプの総代理店といった具合に分ければよいのではないかと考えたのです。これは名案だと思えた二人は再び渡米し、その方針のもとにディーラーまわりを始めました。

マグネットポンプ(渦巻きポンプ) MDF

当時のマグネットポンプ(渦巻きポンプ) MDF型

そしてある日、ニュージャージーにあるテッド・ジラーという小さな販売店の社長を訪ねた時のこと、いかにもポンプ屋のおやじさんといった感じのジラー氏は、「自分の会社程度の規模では、とてもアメリカ全土に売るのは無理だ。やりたいけれども自分にはできない。その代わりよい人がいるから紹介してあげよう。ちょっと待っていなさい」と言って、なんとその場で電話をかけ始めたのです。

アメリカ ウォルケム社との出会い

実はこの時、樋口と上條はこの後すぐにニューアーク空港に向かわなければならないスケジュールでしたが、そのことを説明しても、ジラー氏は半ば強引にアポイントメントをとりつけてしまいました。まもなくして現れたのが、ウォルケム社の社長であるレイ・ジュエット氏です。彼はイワキのケミカルポンプに以前から興味を持ってくれていたようで「ぜひ代理店としてやらせてもらいたい!」と熱心に言ってくださいました。聞けばジュエット氏は、1964(昭和39)年に東京で開催されたUSトレードセンターの展示会で、社長の藤中と面識があったのだそうです。

こうして、ジラー氏のおかげで、イワキはアメリカに力強いパートナーを見つけることができました。そして、その後ウォルケム社が、1981(昭和56)年3月、定量ポンプKBシリーズの総代理店となり、心強いパートナーになってくれました。

定量ポンプ KB

当時の定量ポンプ KB型

それから7年後ジラー氏は、ドイツの展示会「アヘマ ’88」の会場で開かれたイワキのパーティーに突然現れて樋口をびっくりさせました。「イワキがパーティーをやると聞いて、招待されてないけれど来たんだ」とぶらりとやってきたジラー氏を、樋口がよろこんで迎え、皆に紹介したことは言うまでもありません。
こんなふうに、イワキ成長の陰には、常に彼のような好人物との出会いがあったわけですが・・・この続きは次号のお楽しみということで。

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