残された社史に基づき、イワキの歴史を紐解いていくこのコーナー。
文字通り「ポンプに賭けた」男たちの熱いドラマを、お伝えしていきます。

高度経済成長の光と影

前回は、ポンプの接液部に耐食性能に優れたフッ素樹脂を採用し、さらに構造にも改良を加えたプロセスマグネットポンプ「MDF-65型」「MDF-80型」の開発成功の要因を紐解きました。

そこには「市場のニーズに応えるために最大限の挑戦をする」という、なんともイワキらしい姿勢と、ポンプの材質から徹底的に探究するという、飽くなきチェレンジ精神がありました。

昭和30年代から高度経済成長を続けた日本の産業界では、製造工程において様々な薬液が使われるようになり、「液洩れせず、耐食性が高いポンプ」がどうしても必要になっていったのです。イワキの成長は、こうした“時代のニーズ”を真摯に汲み取った結果とも言えるでしょう。

しかし、当時の日本は産業の飛躍的な発展の陰で、大きな問題を抱えていました。全国各地の工場地帯における、工場排水による水質汚染問題です。

その問題を受け、1959(昭和34)年施行の「水質保全法」と「工場排水規制法」が、1971(昭和46)年に統合され、「水質汚濁防止法」として、工場に対して排水の一律基準を設けました。つまり、工場排水を一定の水準まで浄化してから排出することが義務づけられたわけで、各企業では、排水処理のための設備投資がさかんに行われるようになっていきました。

「市場のニーズに応える」という使命感に燃えていたイワキですから、この問題を見逃すはずもありません。次に目指した市場は、この「排水処理装置分野」であり、そこでのイワキの課題は「薬品に強い定量ポンプ」の開発でした。

マグネットポンプMDF-80型

ダイヤフラムポンプ+定量ポンプの開発に成功!

工場の排水処理の工程では、酸性もしくはアルカリ性の強い排水はもとより、浮遊物や微粒子を含んだ排水を移送するケースも出てきます。また、排水を中和させるために水処理薬品の注入を行うケースもあります。

このニーズになんとか応えようとして開発に踏み切ったのが、1970(昭和45)年に発売となった【ダイヤフラムポンプ・HDPシリーズ】です。さらに、2年後の1972(昭和47)年には、【定量ポンプ・Fシリーズ】の開発にも成功しました。

HDP-90

F型ポンプ(1972年 開発当時)

イワキの排水処理装置向け定量ポンプは、耐蝕性のある金属、樹脂、合成ゴムなどの新素材を積極的に取り入れたため、極めて耐蝕性が高く、しかも「ダイヤフラム構造」のポンプなので液漏れの心配がありませんでした。

イワキのポンプは、なるべく構造を単純化することで、お客様にとっての扱いやすさを第一に考えました。さらに、価格も徹底的に低くおさえるように努力を重ねたのですが、果たして市場にすんなり受け入れられたのかどうか・・・この続きは次号のお楽しみということで。

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