残された社史に基づき、イワキの歴史を紐解いていくこのコーナー。
文字通り「ポンプに賭けた」男たちの熱いドラマを、お伝えしていきます。

水処理向けケミカルポンプで業界ナンバーワンへ!

前回は、日本が高度経済成長を続ける一方で、工場排水による水質汚染が大きな問題になっていったというお話をしました。1971(昭和46)年には、「水質保全法」と「工場排水規制法」が統合され、「水質汚濁防止法」として、工場排水を一定の水準まで浄化してから排出することを義務づけたのです。

そのため、各企業では、排水処理のための設備投資がさかんに行われるようになっていったわけですが、そのニーズに応えるべく、イワキは「薬品に強い定量ポンプ」の開発に乗り出しました。

そして遂に! 1970(昭和45)年に「ダイヤフラムポンプ HDPシリーズ」、さらに、2年後の1972(昭和47)年には、「定量ポンプ Fシリーズ」を発売することができました。

HDP-90型(開発当時)

F型ポンプ(開発当時)

イワキの排水処理装置向け定量ポンプは、耐食性のある金属、樹脂、合成ゴムなどの新素材を積極的に取り入れたことが特長でした。マグネットポンプ同様、社内外に蓄積された素材選びのノウハウを駆使し、極めて耐食性が高いポンプの開発に成功したのです。

しかも、構造は極めて単純で扱いやすく、価格も徹底的に低くおさえたこともあり、発売後10年で、水処理向けケミカルポンプとしての業界シェア No. 1を獲得することができました。

さらに社会貢献のできる企業へ!

当然のことながら、排水処理装置市場には強力な競合他社の存在がありました。そんな中「ダイヤフラム式定量ポンプ HDPシリーズ」が水処理向けケミカルポンプとして業界ナンバーワンの存在になれたことはうれしい出来事でした。

しかし、当時の社長 藤中は、一番になれたことよりも、別の喜びを感じていたようで、両シリーズの定量ポンプを前に、「これでイワキも社会貢献のできる企業になれたな!」と語ったと言います。

じつはそれまで、社長も含めたイワキ社員は、「ケミカルポンプ」がどういうものだか、家族や友人になかなか理解してもらえなかったのです。しかし、この水処理用ケミカルポンプのおかげで、「公害防止の機械に使うポンプ」と認識してもらえるようになったことは、何よりの喜びでした。

この喜びを胸に、その後、イワキはポンプの供給にとどまらず、排水処理装置全般のエキスパートとして研究開発を重ねていくことになります。

汚水処理場で活躍するNF型ポンプ

実験室排水処理装置 ラボ・エース

そして、日本国内での公害防止装置の設備投資が安定状態に入ると、海外、それも世界経済の起爆剤ともいわれた東南アジアへとマーケットを広げていきました。

高度成長期時代の日本が歩んだ道と同じ道をアジア各国がたどり、工業化が進んで国が豊かになる一方で、工場による環境汚染が大きな社会問題になったわけですが・・この続きは次号のお楽しみということで。

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