ポンプなるほど・用語編
第23回【遊離残留塩素と結合残留塩素】

このコーナーでは、ポンプにまつわる様々な「専門用語」にスポットを当て、イワキ流のノウハウをたっぷり交えながら、楽しく軽やかに解説します。今まで「なんとなく」使っていた業界の方はもちろん、専門知識ゼロでもわかる楽しい用語解説を目指しています。文末の「今日の一句」にもご注目ください。クスッと笑えて記憶に刻まれるよう、毎回魂を注いで作っております。

今回の用語は>>>>> 遊離残留塩素と結合残留塩素

【遊離残留塩素(ゆうりざんりゅうえんそ)】
水中に投入された殺菌力のある塩素のこと。水中の塩素ガス分子(Cl2)・次亜塩素酸(HOCl)・次亜塩素酸イオン(OCl-)の三種類の濃度を合計した値で、水のPHによって存在する割合が変わる。なお、塩素イオンとは化学的に性質が異なる。

【結合残留塩素(けつごうざんりゅうえんそ)】
残留塩素がアミンやアンモニアと結合して形成したクロラミンと呼ばれる塩素の呼称。

すなわち、「遊離残留塩素」+「結合残留塩素」=「残留塩素(全残留塩素と呼ぶこともあり)」であるが、単に残留塩素と言った場合、通念的には遊離残留塩素の事を指す場合が多い。

前回にも【遊離残留塩素】と【結合残留塩素】という用語は出てきましたが、今回はもう少し掘り下げて、用語解説はもちろんのこと、さらに「そもそも」の部分に迫って行きたいと思います。

と、その前に・・・

残留塩素についてちょっと復習♪

まずは「残留塩素に」ついて、ちょっとだけ復習しておきましょう。

残留塩素って?

  • 水中に残っている有効塩素のこと。
  • 残留塩素を見ることで、「どのくらい殺菌力がある水」なのかがわかる。
  • 残留塩素には「遊離残留塩素(ゆうりざんりゅうえんそ)」と「結合残留塩素(けつごうざんりゅうえんそ)」がある

はい。覚えていましたか? 忘れちゃった人は、1回目を丸っと読んでみてくださいね。


つまり、

「遊離残留塩素」+「結合残留塩素」=「残留塩素(全残留塩素と呼ぶことも)」

ということなのですが、遊離残留塩素、結合残留塩素、それぞれをもうちょっと詳しくみていきましょう。

遊離残留塩素

水中で次亜塩素酸や次亜塩素酸イオンとして存在するもの。
Cl2(塩素ガス) HOCl(次亜塩素酸) OCl-(次亜塩素酸イオン)

結合残留塩素

遊離塩素がアンモニアと結合したもの。
NH2Cl(モノクロラミン) NHCl2(ジクロラミン) NCl3(トリクロラミン)


これを殺菌力(酸化力)の強さの順で見ていくと・・・?!

【遊離残留塩素】>>【結合残留塩素】

前回、「遊離の方が有利!」という親父ギャグをどうしても言いたくて書いてしまいましたが、遊離残留塩素の方が殺菌力は上です。

もっと細かく見ていくと

遊離残留塩素の殺菌力

Cl2(塩素ガス)・ HOCl(次亜塩素酸)>> OCl-(次亜塩素酸イオン)
注:pH値により状態が変化します。

結合残留塩素の殺菌力

NHCl2(ジクロラミン)>NH2Cl(モノクロラミン)> NCl3(トリクロラミン)
注:pH値により状態が変化します。

となります。

上水やプールなどで管理されるのは、殺菌力が高い「遊離残留塩素」を使う場合が多いのですが、最近の温浴施設や温泉施設では、「結合塩素モノクロラミン」による殺菌も行われています。ここでは「結合残留塩素」のことはちょっと置いておいて、遊離残留塩素に熱い視線を注いでいくことにします。

pH値を見てみよう 〜残留塩素の形態〜

塩素はもともとは酸性のガス(Cl2)です。バカボンのパパはよく「賛成の反対〜」とか「反対の賛成〜」と言っていましたが(わかる人だけわかってください)、化学的には酸性の反対はもちろんアルカリ性。塩素ガスが水に溶けることによって、次のような3つの形態に分かれていきます。

  1. 酸性域 Cl2(塩素ガス)
  2. 弱酸〜中性域 HOCl(次亜塩素酸)・・・塩素ガスが水と反応して次亜塩素酸と塩酸を発生
  3. アルカリ域 OCl-(次亜塩素酸イオン)・・・一部の次亜塩素酸が次亜塩素酸イオンと水素イオンに解離

pHによる遊離残留塩素の存在比


殺菌力の強さでは、Cl2・HOCl >> OCl- となりますが、残留塩素のパワーがもっともいかんなく発揮されるポイントが、弱酸性から中性域(pH4~7)あたり! pH7より高い(アルカリ性)ほど殺菌力が弱くなり、低い(酸性)ほど殺菌力が強くなるのです。

「何事中庸を得ることが大事」というのは論語の教えですが、残留塩素の世界もまた、微妙なバランスが大切だということなのでしょう。

そもそも、なんで塩素を入れるの?

さて、ここで素朴な疑問です。そもそもなぜ、塩素を入れるのでしょうか?!

あまりに素朴すぎて、かえってすんなり言葉が出てこないかもしれませんね。でも、この「そもそも」がとっても大切なので、この「ぽんなる用語」では、ちょちょい立ち止まって見て行きたいと思っています。

で。なぜ、塩素を入れるのか? これは登山家に「なんで山に登るの?」と聞いているのと同じ感じがしますが、答えはシンプル、「有害な菌を殺菌、消毒するため」です。

菌の世界も奥深く、この地球上にはものすご〜くたくさんの菌が存在しています。もちろん生物が生きていくために必要不可欠な菌もいっぱいありますが、人の健康に害を及ぼす菌も存在しています。有名どころでいうと、コレラ菌、大腸菌群、レジオネラ属菌、ブドウ球菌 ビブリオ菌などでしょう。

水道やプール、温泉や銭湯、空調装置の中などに繁殖するといわれている危険な存在です。ひとたび感染すると、お腹が痛くなる、熱が出るという症状だけでなく、最悪の場合、命を落とすことも!! 菌、あなどるべからず! 

そんなことにならない、させないためにも殺菌、消毒し、なおかつ発生しにくい環境を作るために塩素を投入しているのです。

塩素による殺菌は、煮沸、UV殺菌、オゾン殺菌などに比べ、手軽な上に高い効果が期待できるので、今では多くのシーンで使われるようになりました。

して、どのくらい入れればいいのか? 水道法では、「蛇口での有利残留塩素を0.1mg/L以上保持」することが定められています。※この濃度を保っておけば、悪さをする菌たちから、私たちの大切な体を守ることができるんですね。頑張れ、残留塩素!

※使用用途により管理基準値(残留塩素濃度)は異なります。

今日の一句
コレラに大腸、レジオネラ、いろんな菌と日々戦う 我らがヒーロー残留塩素!

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