このコーナーでは、ポンプにまつわる様々な「専門用語」にスポットを当て、イワキ流のノウハウをたっぷり交えながら、楽しく軽やかに解説します。今まで「なんとなく」使っていた業界の方はもちろん、専門知識ゼロでもわかる楽しい用語解説を目指しています。文末の「今日の一句」にもご注目ください。クスッと笑えて記憶に刻まれるよう、毎回魂を注いで作っております。

今回の用語は>>>>> レギュレータ regulator

【レギュレータ】 regulator
高圧の流体(液体や気体)を一定の圧力へ下げるバルブ(弁)のことで、「減圧弁」または「圧力調整弁」と呼ぶことも多い。

前回は「エアー駆動(空気駆動)ポンプとはなんぞや?」という全体像といいますか、その世界観をざっくりとご説明いたしました。

ポンプなるほど(第14回)エアー駆動(空気駆動)ポンプ

今回スポットを当てたのは、エアー駆動ポンプへの供給空気圧力を調整する「レギュレータ」なる器具です。前回掲載した「圧縮空気をポンプに供給するまでのおおまかな工程図」を見てみると、「空気圧を調整する」と書いてあります。

圧縮空気をポンプに供給するまでのおおまかな工程

エアー駆動ポンプの動力は「圧縮した空気」ですが、ただ闇雲に圧縮すれば良いというものではありません。短絡的に考えれば、ぎゅーーーっと圧縮した空気を使えば使うほど勢い良く流れて、短時間にいっぱい送れていいんじゃない?!なんてイメージもうっかりよぎったりするのですが、何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。

圧縮空気の圧力が高過ぎる状態が長時間続くと、ポンプ内の部品に破損が生じ、周辺にも非常によろしくない環境を作りかねません。

反対に圧縮空気の圧力が低過ぎれば本来の能力を発揮できず「チョロ」っとしか出ないので、どんなに高性能のポンプを設置しても、「あれ?こんな程度?」と、残念な評価をつけられてしまうかもしれません。そんなことになったら、やる気満々、働く気満々だったポンプは、さぞかししょんぼりしてしまうでしょう。

そこで、レギュレータの登場です! ポンプに送る手前で圧縮空気のムダな力を抜き、“ちょうどいい具合”に調整して、ポンプに送ってくれるのです。

そのおかげで、圧縮空気もいい感じにリラックスできてご機嫌。ポンプにとってもいい具合の空気がやってくるので、これまたご機嫌。ダブルでご機嫌の環境ができあがるので、ポンプは最高のパフォーマンスを発揮するというわけです。

 

調圧スプリングの力と2次側の圧力との差で弁シートが作動し、1次側から2次側への圧縮空気の圧力を制御します。

1次側とは空気の供給側(コンプレッサ側)、2次側は消費側(ポンプ側)を意味します。

  • 2次側の圧力が設定圧力よりも低ければ,1次側の圧縮空気が2次側に流入します。(赤矢印)
  • 2次側の圧力と調圧スプリングの力がバランスすると、弁シートとリリーフ弁シートは閉じます。
  • 2次側の圧力が1次側より高くなると、リリーフ穴から大気へ増圧分を流出します。(青矢印)

逆に言うと、圧縮空気の圧力の加減をコントロールすることで、ポンプの流量を変えることができるのも、エアー駆動ポンプの大きな特長であります。

ポンプの流量を上げるということは、ポンプの性能を変えるということです。これが電気式のポンプだと、不可能ですが、エアー駆動ポンプなら、レギュレータの調整で変えることができるのですから、取扱いがとても便利なのです。

流量の変更といっても、もちろんポンプがご機嫌に動く範囲内ではありますが、
「今日はちょっと多目に液を送りたい」「今回は少し流量を減らしたい」といった微調整をレギュレータで行えるエアー駆動ポンプは、実に「融通のきくポンプ」でもあるのですね!

このようにエアー駆動ポンプの性能を左右する大事なカギを握っているのが、レギュレータ(減圧弁)。ポンプの性能を最大限引き出したり調整するために、なくてはならない大事な器具なのです。

今日の一句

のり弁、ガリ勉、雄弁、方便。いろんな「ベン」はあるけれど、ポンプにとってなくてはならぬ空気の番人、減圧弁!

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