このコーナーでは、ポンプにまつわる様々な「専門用語」にスポットを当て、イワキ流のノウハウをたっぷり交えながら、楽しく軽やかに解説します。今まで「なんとなく」使っていた業界の方はもちろん、専門知識ゼロでもわかる楽しい用語解説を目指しています。文末の「今日の一句」にもご注目ください。クスッと笑えて記憶に刻まれるよう、毎回魂を注いで作っております。

今回の用語は>>>>> 有効断面積

【有効断面積】
配管内を実際に流体が流れることができる断面積のこと。空気が配管内を流れる際には管内抵抗が発生し、実断面積分の流体は流れない。有効断面積は空気圧機器における空気を流す能力の判断材料としても使われる。

空気駆動ポンプの取扱説明書などで見かける「有効断面積」の文字。「一体何が有効なんだ?」と思ったことがある方、ここは何も考えず、心の目で「1本のハム」をイメージしてください。10枚切りのパックじゃありませんよ。贈答用のドーンとした丸太のようなハムを、まるごと1本です。

思い描くのはロースハムでもボンレスハムでもかまいませんが、どちらかというとロースハムの方があとの理解がしっくりくるかもしれません。ちなみにロースハムは豚のロース肉から作られ、きめ細かくて柔らかく、適度に脂肪を含んでいるのが特徴。ボンレスハムは豚のもも肉から作られ、脂肪分が少なくあっさりとした食感が特徴で、ロースよりも肉々しい感覚が楽しめます。以上、ハムまめ知識でした。

と、唐突にハムの話から始まりましたが、お話ししたいのはハムの中身のことではなく、「ハムの形状」についてです。ドーンと太いハムを包丁でザクッと切ると、まぁるい断面ができますね。本日は、その断面の面積、すなわち「断面積」に熱い視線を注いでいきます。

では、ハムの断面積を求めていきましょう。円の面積を計算するには・・・?
はい、正解です。「半径×半径×円周率(3.14)」、もっとオトナっぽく書けば「πr2(パイアール2乗)」で、あっさり求められますよね。エア配管ならば内径から求めることができ、この断面積のことを「実断面積」といいます。ハムの断面積は常にイコール。切ってみると「ちいさっ!」と驚くような切り口になることはありません。

ところが! 空気圧機器にはあるんです。
下図のように、圧縮空気が空気圧機器の配管内を流れる時は管内抵抗があり、実断面積分の空気は流れません。圧縮空気の通り道がグーンと細くなってしまうのです。この実際に圧縮空気が流れる断面積を「有効断面積」と言い、適切な空気圧機器を正しく選定するために、なくてはならない大切な数字なのです。

有効断面積イメージ図

この有効断面積が重要になるのは空気駆動ポンプに配管される空気圧機器です。電磁弁、サイレンサ、エア配管等が小さいと・・・

  • 風量不足で、ポンプのストローク数低下により、ポンプの吐出量が低下
  • ポンプ空気室内に高いエア圧力が残り、ベローズ変形が起こる

といった状態に陥る可能性が出てきます。

ポンプを駆動させるための空気圧機器が正しく選定されていないと、ポンプは正しくスーハースーハーできなくなるので、「このポンプ、仕様通り出ないな~」なんて言われかねません。そして最悪の事態としては故障となり、ポンプとしては無念なことになってしまいます。
ポンプをそんな悲しい目にあわせないためにも、最初から空気圧機器を正しく選定し、正しくエア配管を行う必要があります。

ちなみに、液体よりもエアーの方が配管抵抗の影響は大きくなります。また、同じ太さの配管であっても、長さや角度によって、有効断面積は変化していきます。ポンプにごきげんに働いてもらうためには、「有効断面積は大きめにね♪」をイワキは推奨いたします。

エンジニアより一言

有効断面積は“音速コンダクタンス”と同じ意味を持ちます。
音速コンダクタンスCと有効断面積Sの関係は、簡易的に下記の換算で表されますので、ポンプを作動させるための空圧機器選定の際にはご注意ください。

S[mm2] ≒5.0 ×C

今日の一句

人もポンプも大切なのは健康的な労働環境!
最高のパフォーマンスで働くためにも、有効に使おう、有効断面積!

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