残された社史に基づき、イワキの歴史を紐解いていくこのコーナー。
文字通り「ポンプに賭けた」男たちの熱いドラマを、お伝えしていきます。

ついに巨大な水理模型実験システム完成!

前回は、「瀬戸内海大型水理模型実験における河川流量制御システム」(社内では略して「中工試」と呼びました)に、イワキの「ケミード定量ポンプ」が採用され、1974(昭和49)年が明けるとすぐに、電気工事がはじまった、というところまでをお話しました。

2月に入ると、3台のポンプとタンクが搬入され、次々にポンプとの配線、モーター電源との配線、流量自動制御のサーボ制御盤とサーボ機構との配線を行い、あとはシステムの調整と流量測定を残すのみとなっていたわけですが、じつはそれからが、現場のイワキ技術部員にとって最も過酷な作業の始まりだったのです。

大がかりな実験ですので、73台のうち1台でもトラブルが発生すれば大損害になりかねません。そのため巨大な水理模型に点在する装置をひとつひとつ回り、タンクのそばにしゃがみこみ、ひたすら配線チェックを続けなければなりませんでした。真冬の厳しい冷え込みのなかで行ったこの作業は、想像以上に辛い仕事であったと言います。

しかし、泣き言を言っている暇はありません。このプロジェクトにも“春”が近いことを信じ、懸命に取り組みました。そしてようやく3月になって制御盤が納入され、最後の配線工事も無事に終了! 現場一同、ほっと胸をなで下ろし、本当の意味で“春”を迎えることができました。

われわれイワキにとっては、初めての電気配線および計装工事でしたが、基本案から細心の注意をもって設計し、知恵を出し合って工夫したおかげで大きな不具合もなく、工事は無事に終了しました。その後の運用テスト、さらに最終調整を終え、ついに1974(昭和49)年3月26日、この巨大な水理模型実験システムの完成となりました。

ケミード定量ポンプとタンク

瀬戸内海大型推理模型

瀬戸内海大型推理模型

イワキ埼玉工場、三春工場の建設へ

このプロジェクトの成功は、イワキにとって大きな意味を持ちました。なにしろ、制御の仕事も設備工事も初めての経験でしたが、まずはその仕様から徹底的に検討し、この壮大な実験の目的に合うシステムをゼロから考え、それぞれ異なる流量を扱う定量ポンプの性能に合わせてタンクの設計をするなど、次々と目の前に現れた「新しい課題」も、なんとか乗り越えることができました。

そして、奇しくもこの年、1974(昭和49)年に、イワキの確固たる生産拠点として「埼玉工場」が竣工します。それから3年後の1977(昭和52)年には、このブログにも毎春登場し、その庭に咲く美しい花々が皆の目を楽しませてくれている「三春工場」の竣工と、その生産体制も盤石なものになっていきました。

埼玉工場

三春工場

そしてこの後、「中工試」プロジェクトで新しいことをやり遂げたという自信と、こうした生産拠点の充実により、「今こそイワキの技術力を、より広く社会のために役立てるべきである!」という熱い思いがさらに高まっていくことになるのですが・・・この続きは次号のお楽しみということで。

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