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ポンプに賭けた男たち
残された社史に基づき、イワキの歴史を紐解いていくこのコーナー。
文字通り「ポンプに賭けた」男たちの熱いドラマを、お伝えしていきます。
前回は、イワキがメカトロニクス企業を目指し、「電磁定量ポンプ」の開発に奮闘していた当時のお話をしました。その研究開発は、1980(昭和55)年、埼玉の技術センターが開設される2年前頃から続けてきたものですが、なかなか納得のいく製品はできませんでした。
当時の電磁定量ポンプEP型はオイルバス方式といい、電磁石の放熱性を高めるために潤滑オイルを使うタイプでしたので、長時間使用すると、オイル漏れを起こす場合があったのです。
その問題を解決すべく、オイルを使わず空冷で動かすタイプに改良したのが1986(昭和61)年に発表した「EXシリーズ」です。こうした“マイコン制御”の定量ポンプの開発に成功したのは、世界でもイワキを含めた2社だけでした。この「電磁定量ポンプ EX型」は、同年のグッドデザイン賞に輝きました。
しかし、イワキはそこで満足することなく、まったく新しいコンセプトの電磁ポンプの開発を進めていきました。そして遂に、1992(平成4)年、新型モデルとして完成したのが「EH型」です。
「電磁定量ポンプ EH型」は、海外向けとしても十分に競争できるコストと高機能性をもつポンプでした。さっそく国内でも販売を開始し、イワキは電磁定量ポンプのシェアをかなりの勢いで伸ばすことになりました。これは、製品の開発コンセプトと時代のニーズがマッチした結果ではないかと思っています。
この「EH型」の最大の特徴は、電磁石部とコントロール部が別設計になっており、取り替え可能な構造であることです。それまでの「EX型」では、コントロール部とポンプ部は一体組み込みになっていましたが、お客様の幅広いニーズにお応えするためには、さまざまな機能のコントローラを、自由に取り替えられる設計にしたほうがよいのではないかと考えたわけです。
たとえば、最も低価格の汎用型のものには、コントローラを調節するつまみがついているだけのものもあります。一方、高機能タイプのものでは、設定をキーで入力すると液品画面に表示され、さらに、運転中のデータを表示しながら、モニタリングすることもできるようになっています。
この機能をポンプ内に取り込んだのは、世界でもイワキが初めてでした。そして、この電子回路制御の技術が、1980年代のポンプコントロールシステムにつながっていったのですが・・・気になるこの続きは次号のお楽しみということで。
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