イワキ創業40周年の社史をもとに、イワキの歴史を紐解いていくこのコーナー。
文字通り「ポンプに賭けた」男たちの熱いドラマをお伝えしていこうと思っています。

まだ見ぬケミカルポンプの市場を求めて

1962(昭和37)年、練馬区旭町に初めての自社工場を建設したイワキは、その後数年のうちに隣接地を借り受け、2階建て延べ50坪の寮付きの工場も増築するまでになりました。イワキをメーカーにすることは創立当初からの目標でしたから、イワキはその目標に向かって、着実に一歩一歩進んでいたことになります。

社長の藤中は

「メーカーにならなけりゃだめだ。自社製品を持たなければ」

と、いつも口ぐせのように言っていたわけですが、その先陣を切ったのが、先にもご紹介した「KM式万能シェーカー」でした。

しかし、いつまでもシェーカーだけに頼っているわけにもいかず、そろそろ次の一手を打つべき時が来ているのは明白でした。そんな中、次なる自社商品として浮上してきたのが、「ケミカルポンプ」なのです。

これまでもケミカルポンプの仕入れ販売はすでに行っていましたが、次に自社製造するならこれだろうと、白羽の矢を立てたわけです。

後に「ケミカルポンプ」がイワキという会社の生命線になっていくことを思うと、この時の決断がいかに重要なものだったかがわかりますが、部品調達や 組み立て作業は「KM式万能シェーカー」で経験を積んでいましたので、臆することなくケミカルポンプの自社製造に踏み切りました。

ケミカルポンプメーカーへの第一歩を踏み出すべく最初に手がけたのは、耐酸・耐アルカリの少流量ケミカルポンプ、ベローズポンプとダイヤフラムポンプです。

イワキ最初のケミカルポンプ 耐酸ベローズポンプBP型と耐酸ダイヤフラムポンプ DP型 1959年(昭和34年)

ポンプの接液部分には、最初から樹脂や合成ゴムを使っていました。ケミカルポンプを製造していることを知った客先からは、回転式で流量の多いものや圧力の高いものなど、さまざまな引き合いがくるようになっていきました。

じつは社長の藤中は、この頃から、イワキの本当の目標は、理化学機器メーカーから「ケミカルポンプメーカー」になることであると考えていたのです。

当時の営業部は、ケミカルポンプと理化学機器営業に分かれており、当時の売上げは、まだ圧倒的に理化学機器が占めていました。

理化学機器を中心に扱っていた当時の総合カタログ(表紙と最初のページ)

しかし、藤中自身は、イワキがケミカルポンプメーカーになるための道を必死に探っていたのです。

イワキ「ラボポンプ( LP-1)」のヒット

小型ケミカルポンプの需要がひろがり、一大市場となるチャンスを見逃すまいと情報収集に力を入れ、資金繰りに四苦八苦しながらも製品開発に積極的に投資を続けました。

最初にまとまった受注となったのがジュース自販機向けに出た「ラボポンプ(LP-1)」でした。樹脂製の渦巻きポンプです。

装置への組込みに適したコンパクトポンプ
最初のヒット商品ラボポンプLP型 1962年(昭和37年)

藤中が命名した小型ケミカルポンプ「ラボポンプ」は、商標も取りました。ケミカルポンプは当初、研究室向けがほとんどだったため、英語の「ラボラトリー・Laboratory」からその名をとってラボポンプとしたのです。

イワキの製品は最初から「樹脂製」で「小型」という特長を持っていたので、「ラボポンプ」という名前をつけたことは、他のケミカルポンプとの差別化には好都合でした。

とはいうものの、金型成型をおこすようになるのはまだ後のことで、当時は、樹脂の丸棒や厚板を切削加工して作る「手作り」と呼ばれるものでした。

果たしてこの「ラボポンプ」はイワキにとってどんな存在になっていくのか・・・

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