ダイヤフラムポンプを作り続けてもうすぐ40年。世界初の樹脂製ダイヤフラムポンプを世に送り出したポンプメーカーの老舗、株式会社ワイ・テイ・エス様(以下YTSと表記)。昔も今も「YTSなくしてはイワキのダイヤフラムポンプはない」といっても過言ではないほど、強い信頼と絆で結ばれているイワキのパートナー企業です。

YTSは設計、開発、製造、組立、販売までを一貫して自社で行っており 、ポンプ内部の細かなパーツまで自社工場で製造しています。

樹脂成形においては、なんと自社製造100%!というのですから驚きです。

この徹底したものづくりは、どのようにして生まれたのか? 「YTSの底力」はどこからくるのか? そこを探るべくメルマガ編集部ことイワ気になる隊はYTS四天王(勝手に命名させていただきました。)にインタビューを行い、それぞれの立場から語っていだきました。YTSとイワキの取り組みについて少しでもご理解いただければ幸いです。

最初にご登場いただくのは、株式会社ワイ・テイ・エス代表取締役社長 山田広和(やまだひろかず)様です。

── まずは、YTSの歴史から教えてください。

山田「もともとはタイヤの空気圧などを計る計器類を作る会社でした(株式会社豊和計器製造所)。1966年(昭和41年)、創業者は祖父、山田正太郎です。創業当初から国内はもちろん、アメリカに向けて販売しておりました。当時は固定相場制で1ドルが360円の時代だったのですが、途中から変動相場制に変わってしまい(1973年/昭和48年)、その頃の先代社長はよく「いくら輸出しても儲からない」と言っていたようです」

このままではマズイ。何か新しい事業を立ち上げなければということで、様々考えた中で先代社長が出した答えが『ダイヤフラムポンプ』の製造でした。

── それはイワキとの出会いで、ポンプの扉が開いたということですか?

山田「いえ、タイミング的にはダイヤフラムポンプの製造を始めてから出会ったそうですが、イワキさんから様々なご指導をいただくことで、本格的な製造が始まりました」

「三万分の一」の奇跡が生んだ出会い

YTSは前身の計器類の製造の時代から樹脂成形の技術とノウハウを持っていました。それを応用すれば樹脂製のダイヤフラムポンプに活かせるのではないかと試行錯誤を重ね、1976年(昭和51年)に樹脂製のダイヤフラムポンプの開発に成功します。

山田「エビデンスはありませんが、たぶん世界初だと思います。その頃のダイヤフラムポンプは金属製のものしかありませんでしたから」

しかし、世界初の快挙を成し遂げたものの、売ってくれる先がない。そこで先代社長が3万枚のチラシを印刷し、展示会で配りまくったと言います。

山田「その中の1枚を受け取ってくださったのが、イワキさんだったのです」

なんと! 3万枚のチラシが繋いだご縁なのですね!(驚) まさに3万分の1の奇跡!

山田「そこからイワキさんとの協業が始まりました。当時、イワキさんはまだエアー駆動式ポンプとダイヤフラムポンプを扱っていなかったこともあり、興味を持ってくださったのでしょう。厳しくも愛のあるご指導をたくさんいただきました」

樹脂製のダイヤフラムポンプに大いなる可能性が開かれているものの、当時のYTSの製品としては金属製のダイヤフラムポンプが一種のみ。

山田「これじゃダメだ。まずはラインアップを増やさなければ、お客様の目には止まらないと、ピシャリと言われました。でもそのおかげで現在の豊富なラインアップができたのです」

イワキの創業者、藤中義昭は常々、『イワキはポンプのデパートを目指す』と言っていました。お客様が扱う薬液は様々で、少量を送りたい人もいれば、一気に大量の液を送りたい人もいる。だから小さいポンプから大きなポンプまで揃えておくべきだ。そんなイワキ魂をまるごと受け止め、品質向上に努めてきたYTS。そのものづくりを極める姿勢が実を結び、現在ではわずか口径5ミリの「TC05」から、ポンプの口径が8センチもある「TC80」まで、豊富なラインアップを誇っています。

★豊富なラインアップ

山田「それともうひとつ、『樹脂製の成形技術を極めたほうがいい』というアドバイスもいただきました。おかげさまで今では樹脂成形はYTSの強みのひとつにもなっています」

イワキといえばケミカルポンプですが、主に金属製のポンプを使用しており、確かに強度はあるものの、薬液によっては溶けたり錆びたりして、困っていたお客様がたくさんおりました。いち早く樹脂の可能性に着目していたイワキは、YTSの高い技術力を見込んで、そう進言したのでしょう。YTSもそれに応えて以前から持っていた樹脂成形の技術に、さらに磨きをかけていきます。

山田「樹脂成形を極めるために、先代社長は一念発起して樹脂専用の成形機を購入しました。あまりに大きすぎため当時の工場(東京都大田区)に入りきらず、しかたなく斜めに置いていた・・という逸話つきで(笑)」

先代社長、なかなか豪快なお買い物をなさいましたね(笑)この初代成形機は、今も佐倉工場にて現役で動いております。工場見学編でご紹介しますので、どうぞお楽しみに。

しかし、この豪快な買い物には、ある「大きな理由」が背景にありました。

失敗から学び、オンリーワン技術を手に入れる

山田「この機械を買う前には、樹脂パーツは外注に出していました。外見は綺麗にできているし、寸法も合っている。しかし、ポンプに必要なスペックまで理解していなかったのでしょう。納品後にパーツが割れるという大事件が起こりまして・・・」

ケミカルポンプとしての使命を果たすためには、塩酸や硝酸など危険なや薬液を移送することもしばしば。何をおいても耐久性と安全性は担保しなければなりません。しかし、それができなかった・・・。YTSにとっては痛過ぎる経験となりました。

山田「そこからですね。お客様が安心して使えるポンプを、自分たちの手で作ると意を決したのは。外注に頼らず、樹脂のパーツはすべて自社工場で作る。成形機を買ったのも、先代の決意の現れなのです」

失敗をエネルギーに変え、2度と同じ轍を踏まないよう自分たちができることはすべてやる。そんな姿勢を貫き通したからこそ、現在の「樹脂パーツは100%自社で製造する」という「YTSクオリティ」が実現しているのです。

── まさに人に会社に歴史ありですね。では、会社のことをもっと教えてください。YTSという社名の由来は? 

山田「『山田・テクニカル・サービス』の略です。これもイワキさんからのアドバイスなのですが、製造業はモノを作ればいいという時代はもうすぐ終わる。技術力を上げることはもちろん、サービスはアフターサービスを充実させるべきだ。そのニーズに応えられる会社であることを名前で表そうと、社名を変更しました」

社名変更は1976年(昭和51年)2月。ちょうど世界初の樹脂製のダイヤフラムポンプができた年でもあります。YTS様の新たなステージは、ここから始まったのですね。

山田「私たちが最も大切にしているのは、人と人とのつながりです。先ほど社名の話にもつながるのですが、お客様が困っていたら、何を置いても助けに行く。スピード感を持って解決にあたる。これをモットーにしています。

正直、ポンプの不具合ではないことでお困りになられていることもあるのですが、私たちがお手伝いすることで、お客様が喜んでくださるならそれが一番です。ですから日本全国どこへでも、YTSのアフターサービスチームとイワキの営業が飛んでいきます。お客様の笑顔と「ありがとう」の言葉は、お金や時間には決して代えられません」

── それでは、最後に一言、お願いします

山田「イワキさんには本当にたくさんのことを教えていただきました。中でも『時代の先を見て、どこよりも一歩先へ!』というイワキイズムは、YTSの隅々まで染み渡っています。他にはない技術、他にはない人材づくりに励み、樹脂製ダイヤフラムポンプの世界リードカンパニーを目指します」

会社を長く続けていくことも、ひいてはお客様のため。そのためには若い人材の育成が欠かせません。YTSは10年後に戦力の要になる人材を育てることに力を入れています。我こそは!と思う方は、ぜひ、扉を叩いてみてはいかがでしょうか?

── 山田社長、素敵なお話をたくさんありがとうございました!

 

次の記事:ダイヤフラムポンプのグッドパートナー 株式会社ワイ・テイ・エス様(第2回)

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