イワ気になる隊が行く!
残留塩素計のテクノエコー株式会社 突撃レポート・後編

“気になること”があれば、この目で確かめずにはいられないメルマガ編集部こと「イワ気になる隊」。

グループ会社の「テクノエコー」が事務所を移転したと聞き、新社屋を突撃取材してまいりました!前回(残留塩素計のテクノエコー株式会社 突撃レポート・前編)は主に社屋の1階スペースをご案内いただきましたが、今回は2階の応接室にて、企画開発室長を務める長瀬取締役よりお話を伺いました。

「テクノエコー」とイワキの出会い

― 本日はお時間を頂戴し、ありがとうございます。2016(平成28)年12月に、イワキのグループ会社となった御社の歩みについて、あらためてお伺いできればと思います。そもそも、イワキとはどのような出会いだったのでしょうか?

「創業は1994(平成6)年。残留塩素計などの酸化剤還元剤用計測機器の製造販売を目的として、東京都西多摩郡瑞穂町にテクノエコー有限会社を作ったのが始まりです。その後、2000(平成12)年に埼玉県入間市寺竹に移転し、今回が2度目の引っ越しということになりますね。

歴史をさかのぼれば、第二次世界大戦後、水道水に塩素を入れるようになったわけですが、この分野には主に2つのニーズがありました。

ひとつは、塩素濃度を「正確に測りたい」という分析機器としてのニーズです。水道水に安全を求められるのは当たり前ですが、同時に“おいしさ”も求められるわけで、そのためには、最適な塩素濃度を計測する必要が出てきたわけですね。ドイツなどでは、すでにこの技術が先行していました。

そして、もうひとつが「センシングデバイス」つまり「センサ」としてのニーズです。たとえば、水道局さんが1リットル当たり0.1ppmの塩素濃度を保ちたいと考えた場合、次亜塩素酸ナトリウムを正確に制御しながら薬注していく機器が必要になります。この「制御」が、ポンプメーカーさんとご縁が深い分野なんです。

私たちは数名で立ち上げたごくごく小さい会社でしたので、すでに大手が参入している「計測・分析」の分野ではなく、ポンプメーカーさんや薬品メーカーさんとタッグを組めば、まだまだビジネスチャンスがあるだろうと考え、「制御」の分野を目指して行くことを決めました。その後、パートナーシップを組むお相手を探す中で、流体制御のプロであるイワキさんと、運命的な出会いを果たしたわけですね。イワキさんへ残留塩素計のOEM供給を始めたのは、創業から3年後、1997(平成9)年のことでした」

シンプルさを追求したテクノエコーの残留塩素計

― 最初から目指す市場が明確だったのですね。「無駄な戦いをせず、淡々と我が道を行く」といった精神は、御社の“ものづくり”からも感じ取れるのですが・・・。

「なかなか鋭い質問ですね(笑)。ご存じのように残留塩素計にも様々あり、中には電極を何重にも巻いた難しい構造のものもありますが、私たちが追求したのは【シンプルさ】でした。複雑な構造の機器は、部品点数も増えます。当然、すべての部品を内製するわけにはいかなくなりますが、他社製の部品は、途中で製造中止になってしまうリスクを伴います。

ですから、将来的な部品調達の不安を払拭するためには、すべてを自社で内製できるシンプルな残留塩素計を開発し、製造販売していく必要がありました。様々な方式の残留塩素計を研究する中で、われわれは、シンプルかつ性能を担保できる【3電極式ポーラログラフ】というある意味古典的な方式を選んだのです。

>>>ポンプなるほど(用語編): ポーラログラフ(polarograph)より

 
 

―【3電極式ポーラログラフ】については、以前、当ブログの「ポンプなるほど(用語編)」で詳しく取り上げました。その節は、専門家の立場から原稿作成をサポートしていただき、心から感謝申し上げます。

「そんなこともありましたね。技術的な内容をわかりやすく解説するのって、結構難しいですよね。たしかその後に『電極の洗浄』についての回もありましたよね?」

― はい! 同じく「ポンプなるほど(用語編)」の【ビーズ洗浄と電解洗浄】の回でも大変お世話になりました。

「残留塩素計の電極は、検水中に含まれる物質によって意外と汚れるものなんです。センサ部分が汚れてしまうと正しい測定ができなくなる。それを避けるためには、洗浄を連続的に行う必要があるわけですが、従来は主に【ビーズ洗浄】という方法で汚れを落としていました。用語解説のとおり、セラミック製またはガラス製のビーズを使って行う機械研磨洗浄のことです。しかしこの方式だと、どうしても取り切れない汚れがある・・・そこでわれわれが選択したのが、【電解洗浄】と呼ばれる作用電極表面を電気分解して汚れを落とす洗浄方法なんです。

検水中に含まれる鉄やマンガンなどの金属イオンなどがセンサ電極部にメッキ状に付着したり、センサ電極部先端に位置する作用極に酸化被膜が作られてしまうこともあるんですが、こうした化学的な汚れは、ビーズ洗浄では太刀打ちできません。そこで【電解洗浄】なんです! センサ電極間に±(プラスマイナス)の電圧を交互に与えることによって、汚れを電気化学的に落としていくのです。この【電解洗浄】が、3電極式ポーラログラフを採用している当社の残留塩素計の特長になっています」

 
 

イワキとタッグを組んで全国の温浴施設を攻略!?

― まさに“なるほど”納得です! 御社が「水質計測機器のパイオニア」と呼ばれる理由がよくわかった気がします。

「私たちは一般的な残留塩素の測定方式を『Aモード』とし、テクノエコーの採用した測定方式を『Bモード』と、いわば“勝手に”命名し(笑)、“業界初”として他社製品との徹底的な差別化を図っていきました。そうこうしているうちに、われわれにとっての大きなビジネスチャンスが訪れたのです!」

― 神風でも吹きましたか? 非常に“気になります”ねぇ~。

「われわれにとって“神風”となったのは、いわゆる『ふるさと創生事業』、1988(昭和63)年から1989(平成元)年度にかけて、当時の竹下内閣が各市区町村に対し、地域振興のために1億円を交付した政策です。それによって全国各地にヘルスセンターなどと呼ばれる大規模な温浴施設が乱立したのですが、水質管理のノウハウのない方たちが運営した施設もあったために、レジオネラ菌による死亡事故が起きるようになってしまったのです。そこで厚生労働省は、慌てて『塩素管理』の厳しい指導を始めました。

その時、業界の反応は大きく2つに分かれたのをよく覚えています。これまでは主に “水道水”だけを計測してきた業界ですから、温浴施設の汚れている水なんか測れるわけないと背を向けたメーカーさんも多かった中、うちのような小さな会社は失うものがありませんから(笑)、ぜひともこのチャンスをものにしたいと考えました。そこで、パートナーシップを組んでくれたのがイワキさんなんですよ! 

イワキ製の電磁ポンプとテクノエコー製の残留塩素計がタッグを組んだわけですが、当時のイワキさんには『システムプロジェクト(通称:シスプロ)』が編成されていました。単に製品を売るだけではなく、周辺機器も含めた『システム』として市場を獲得していこうという特別部隊です。

そこで、レジオネラ菌におびえる全国の温浴施設に対し、ポンプや残留塩素計はもとより、タンクや制御盤も含めた周辺機器をひとつの『システム』として、売り込みをかけたのです。それはもう、飛ぶように売れましたよ!!

― この時、残留塩素計の市場が一気に広がったわけですね?

「それまで残留塩素計の市場は、水道局さん以外は、学校のプールぐらいしかなかったわけですが、これを機に大規模温浴施設のみならず、各地に“スーパー銭湯”と呼ばれる施設が増えたり、今やスポーツクラブにも必ず温浴施設がありますから、おかげさまで残留塩素計の市場は広がりを見せる一方なんです。

加えて、施設の利用側の意識もずいぶん変わったように思います。ひと昔前は“塩素臭いお風呂”は敬遠されたものですが、近年は【塩素臭=安心・安全】という認識に変わってきているようです。それは“温泉施設”でも同じことです。従来、温泉を塩素消毒し、水質を残留塩素計で管理するなどという認識は全くなかったと思いますが、急速にそのニーズが増えているのは確かです。そうなると、含有成分の多い水を測ることにかけてのノウハウが豊富な当社の出番がますます増えるんじゃないかと思っているところです。

【温泉も測れる残留塩素計】で“日本一”を目指し、従来の塩素処理だけでなくモノクロラミン処理など、多様な塩素剤への対応を急いでいるところです。ちなみに、モノクロラミン処理による浴槽水消毒の実証試験には、当社の残留塩素計が使われたんですよ」

>>>流通型残留塩素計

>>>浴槽水用残留塩素計

左から 流通型残留塩素計 IR-10-40W、流通型浴槽水用残留塩素計 GRF-10-40

― 残留塩素計は、温浴施設以外でのニーズもありますか?

「近年増えているのが、食品業界のニーズですね。『HACCP(ハサップ)』と呼ばれる食品衛生管理基準がまもなく義務化されますが、食品の安全を守るために塩素剤が使われる機会も増えています。カット野菜などはその代表例ですが、食品業界に向けて、これまでの計測機とはまったく違った発想の機器を作れないか・・・もっか共同開発を進めているところです」

― そういえば、引っ越し以前の金子にあった社屋は「開発センター」になったのでしたね?

「はい、研究開発のために、十分な環境が整いました。イワキさんとは流体制御のプロ同士タッグを組み、これまで世になかった製品を開発し、世界をあっと驚かせてやろうという“野望”を持っています。

また、この機会に実験設備を整えた『研究開発センター』は、新入社員はもとより、場合によっては海外からも人材を受け入れ、次の世代の方たちの教育施設としても活用していく計画があります」

― この度の引っ越しで色々な意味での環境も整い、今後の展開が楽しみですね。今回は楽しい取材をありがとうございました。

明日の水質計測技術を創造する

テクノエコー株式会社
創立 平成6年10月
本社所在地 埼玉県入間市野田1241-1
業務内容
  • 電気化学式センサの開発、商品化
  • 各種水質測定機器のOEM商品の開発・製造
  • プロセス用薬液自動分析計の開発・製造
  • 浴槽水用残留塩素計の製造・販売
  • 各種残留塩素計の開発・製造・販売
  • オゾン濃度計の開発・製造・販売
  • 二酸化塩素計の開発・製造・販売
 

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