イワキ創業40周年の社史をもとに、イワキの歴史を紐解いていくこのコーナー。文字通り「ポンプに賭けた」男たちの熱いドラマを、お伝えしていきます。

代理店網を確立した若き営業統括者

営業統括に抜擢された弱冠29歳の上條が、就任早々にやったことは、競合他社の販売体制を調べることでした。調査の結果、1964(昭和39)年当時、ケミカルポンプを扱うメーカーは、そのほとんどが直接販売体制をとっていることがわかりました。つまり、地方営業所を作って直販の拠点とし、それを全国展開していたのです。

しかし、まだ組織として動き出したばかりのイワキにとって、競合他社と同じようにやっていたのでは、勝ち目がありません。でも、なんとか売りたい。いや、売らなければならない・・・ そのためにはどうするか?・・・就任早々、彼の前には大きな問題が立ちはだかったのです。

一方、同じポンプでも汎用ポンプのメーカーは、直販ではなく代理店に商品を卸す間接販売を行っていました。各地の代理店を通して、日本全国に製品を売る方法を取っています。比較的体力がなくても、この方法なら日本全国津々浦々まで、製品を届けることができますが、その反面、大きなリスクもありました。それは、メーカーに製品開発力や短納期で製品を提供できる体制が整っていなければ、代理店からの信用とお客様の信頼をなくすことです。

しかし、若き営業統括者 上條は、目の前のハードルが高ければ高いほど燃えるタイプ。 「よし、それなら俺は両方やってやる!!!」と決心し、代理店体制と直販体制の2本柱で行きたいと、社長の藤中に直談判したのです。

すると、社長の口から出たのは、「好きなようにやってよし」という、潔い言葉でした。入社以来彼が仕事上のことで「こうしたい」とか「ああしたい」と提案したことを、社長はほとんどやらせてくれました。

強気で積極的な案なら常に応援する。任せると決めたら信頼して全て任せる・・・それがイワキのやり方だったのです。

代理店獲得ヘ ~第一次販売網の確立~

こうした経緯で、直販体制と代理店販売体制の2つの方法で進むことにしたイワキ。とりあえず最初のステップは「代理店を獲得すること」です。売ってくれる人を見つけなければ、お話になりません。早速代理店探しの行脚が始まりました。

しかし、プラント商社やポンプ商社の多くは、当時のイワキをまだ自分たちの商売相手とは見てはくれませんでした。イワキの知名度の低さも大きな要因でしたが、それ以前に、ケミカルポンプの需要がまだまだ低かったのです。

ですがそれくらいのことでは、彼は諦めません。

プラント商社やポンプ商社がダメなら、他を当たればいいだけだ!とばかり、イワキが最初に交渉の相手と焦点を当てたのは、それまでの理化学機器で取引きのあった商社でした。

彼はそれらの会社をかたっぱしから訪ね歩き「将来明るいケミカルポンプ業界で、イワキとパートナーシップを組みませんか!?」と、話をもちかけていきました。

なにぶん、ケミカルポンプを扱うのは初めてという相手です。「今回は見送る方向で・・・」とか「検討しますので・・・」と、腰の引けた対応がほとんどでした。先方の立場から見れば当然の反応です。

普通の営業マンなら空気を読んで、「では、また機会があったら・・・」と、すごすごと帰っていくところですが、タフな彼は、そんな空気などはねとばし、粘り強く説得を続けました。

彼には壮大な計画がありました。それは日本全国津々浦々にイワキのポンプをお届けする緻密な販売網を築くことです。

直販ではイワキがすべてのお客様を回りきれません。直接販売できる数量には限界があります。いくら営業マンを増やしても追いつきません。そこで地元で愛され、重宝がられ、地元の企業に信頼されている販売会社を探すことが一番だと考えたのです。メーカーと販売会社も対等の立場で、お互いウィン、ウィンの関係を築きたいと思ったのでした。

「ケミカルポンプは今後絶対に伸びる分野だ」

「そのなかでもイワキの製品は、良いものである」

「だからイワキと付き合うことは、御社にとって絶対に得になる!」

と、こんな具合です。そこに若干の強引さはあったかもしれませんが、当時の上條は血気盛んな29歳。若気の至りということで、ご勘弁ください。

しかしおもしろいもので、最初は弱腰で、仕方なく話を聞いていた方々も、次第に彼のパワーに同化し、自分たちの意見を発言するようになってきました。代理店になるには、会社にとって明確なメリットがなければなりません。話し合いは次第に熱をおび、議論に議論を重ねて、代理店の契約を取り付けていきました。とは言っても、大事なパートナーは誰でもよかったわけではありません。たとえ販売力のある企業であっても、気持ちの通じない相手に対しては、彼はあっさりと断りました。数を増やせばよいとは考えておらず、しっかりと相手を見ていたのです。

「イワキとともにケミカルポンプのパイオニアとなろう」というくらいの気持ちがなければ、新規の市場開拓などできるわけがありません。ポンプを扱ってもらうために、まず兼任でもよいから、ケミカルポンプの担当者をつけてもらうように交渉しました。

そして、担当者にはケミカルポンプの知識を一から教え、そのうえで営業にも同行するなどのバックアップ体制をとり、代理店の信頼を得ていったのですが・・・

第1回代理店代表者会議の懇親会での記念撮影(1967・S42)

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