ポンプに賭けた男たち
イワキ創業40周年の社史をもとに、イワキの歴史を紐解いていくこのコーナー。文字通り「ポンプに賭けた」男たちの熱いドラマを、お伝えしていきます。
「写真自動現像機用ケミカルポンプ」の市場拡大に合わせた第2次販売網拡大のため、直販拠点となる営業所設立に着手していったイワキでしたが、これまで代理店との間に築いてきた信頼関係を損なうことなく、イワキの真意を理解してもらえるように、必死で説得を続ける日々が続きました。
何よりも、正直に腹を割って話すことを第一としながら、しだいに代理店の信頼を得ていったわけですが、この時代に培った「相手に対して正直に正面から向かう」というやり方が、後にイワキ営業の基本になっていったのです。
本音の説得とは、だいたいこんな内容でした。
「営業所を置くのは、決して顧客を取るためではありません。今まで御社の努力で開拓してきたお客様は、これからも御社でやっていただきます。そのためのご支援も、これまで以上にいたします。とはいえ、新規開拓に関しては、御社もイワキも同列です」
「ケミカルポンプの市場を考えていただきたい。これまで大きな市場として、写真自動現像装置、排水処理装置などがありました。ですが、ケミカルポンプはひとつの市場で無限に伸び続ける性質の製品ではありません。次々とニーズを掘り起こし、市場を広げていかなければならない製品です。この市場の開拓まで、代理店のみなさんに託すことができるのでしょうか？」
「幸いなことにイワキは、イワキを理解していただける優秀な代理店の皆さんとめぐりあうことができました。どちら様にもイワキ製品の担当者を置いて、精一杯やっていただいています。それでも未開拓の分野はたくさんあります。目の前にある市場をみすみす放っておくことはできません。市場が増えることは、イワキだけでなく代理店の皆さんにとっても、間違いなくメリットになるはずです！」
幸いにもこの時ケミカルポンプの需要は急激な伸びをみせており、イワキは実力のある会社という評価を高めつつあった時代でした。それに加えて、本音の説明と、積み上げた実績のおかげで、どの代理店にもひととおり理解していただくことができました。
第5回代理店講習会（1970・S45）
こうして、イワキの直販拠点の第1号である大阪営業所の開設を迎えることができたのです。1968（昭和43）年1月4日のことでした。事務所は大阪の北浜にある味の素ビルの新館2階。所員は全部で9人。初代所長は、佐藤信夫(元・株式会社イワキメンテック 専務取締役)でした。
佐藤は1958年の入社で、入社後6年間くらい理化学機器の営業を担当していた人物。はにかんだように話すくせのある佐藤は、独特のじっくりと粘り強く攻めるスタイルの営業で、理化学機器からテレビ、冷蔵庫、バケツやホウキの手配まで行い、研究室の方々から信頼を受け、商社からメーカーに生まれ変わろうとするイワキを支えてきました。
大阪赴任当時は、怖いものなしの30歳。
「大阪には大阪の商売のやり方がある。だが自分はそれに無理に染まろうとはせずに、自分なりの商売のスタイルをつくろう」
佐藤は、自分にとっては未知の場所大阪へ、思い切りやってやろうと意気込んで乗り込んでいったのです。
大阪営業所初期のメンバー
大阪で生まれ育った企業の価格交渉の厳しさもありましたが、堺市の化学コンビナートに全国から集まった工場の限りない可能性を強く感じ取り、営業にも力が入りました。最初のうちは、代理店が持っているユーザーの中から、未開拓の企業を攻めることから始めていきました。また、時には特約店の力を借りることもあったようですが…
製品資料データ、カタログ、取扱説明書を会員サイトからダウンロードできます。
ページトップ
