残された社史に基づき、イワキの歴史を紐解いていくこのコーナー。
文字通り「ポンプに賭けた」男たちの熱いドラマを、お伝えしていきます。

創立以前から「技術重視」の方針

前回までは、創業以来、国内から海外までネットワークを広げていくイワキを、どちらかと言えば「営業力」を切り口に見てまいりました。時に、2017年新春。今回から、イワキの「技術力」に着目しながら、会社の歴史をもう一度振り返ってみたいと思います。

株式会社イワキは、1956(昭和31)年に 理化学機器の「商社」として誕生しました。創業者は藤中義昭。弱冠27歳、当時2万5千円の元手でのスタートでしたが、若き藤中の胸の内には「いつかは自社製品を持つメーカーになるんだ!」という熱い気持ちがあったことはすでにお伝えしたとおりです。

創業以前の藤中は、理化学機器の商社に勤めていたのですが、そこで懸命に働く中で、「製品の技術知識がなければお客様に信頼されない」ということ、「信頼されなければ製品は売れない」ということを身を持って学んでいました。そして、会社創立以前から「お客様の望む製品を作れるようになれば、商売は絶対にうまくいく」という確信を持っていたのです。ですからイワキは、まだ創立したばかりの小企業だった頃からずっと、「お客様が必要としている製品は何か」「その仕様を満たす製品や技術がどこにあるか」を模索し続け、日本になければ海外にはないかと、視野を全世界に向けて、常に情報収集に努めてきました。創業当時からのこうした思いや思考の積み重ねが、イワキ製品の“開発の原点”にあることは間違いありません。

画期的だった樹脂のケミカルポンプ

こうして創業から3年後の1959年(昭和34年)に、ついにイワキは金型成型による「自社開発のケミカルポンプ」の製造を開始しました。そしてその3年後の1962年(昭和37年)には量産化に成功します。これが小型プラスチック製のうず巻ポンプ、通称【ラボポンプ・L P型】です。

最初のヒット商品ラボポンプLP型 1962年(昭和37年)

最初のヒット商品ラボポンプLP型 1962年(昭和37年)。小型サイズをわかりやすくするため、メジャーなタバコと並べた写真です。当時はビジネスマンにタバコってあたり前の存在だったんですね。

フロントとバックケーシング、およびインペラー(羽根車)がプラスチックのポリプロピレン製、シャフトとメカニカルシールには、ステンレスのSUS316を使用しました。そして、このLP型こそが、イワキが日本で最初に量産化に成功し、市場に提供した『記念すべきケミカルポンプの第1号』だったのです。

当時、ケミカルポンプにプラスチックを使うという発想は斬新でした。そして1950年代に入り、日本各地に石油コンビナートの建設が始まりました。エネルギーが石炭から石油へ転換していき、同時に石油化学工業が発展。その結果、新素材の各種プラスチックが製造されるようになっていったわけですが、それから数年経って、それまで木製や金属製だった生活用品の中に、ようやくプラスチック製品が登場してきた・・・樹脂製のケミカルポンプL P型が生まれたのは、まさにそういう時代の真っ只中でした。

「そんな柔らかいものでポンプができるわけがない」とか、
「樹脂は劣化しやすく割れやすい。 そんなものを使うなんて邪道だ」

などと言われながらも、あきらめずに製品化を進め、いざ世に出してみると市場の反応は上々でした。「プラスチックは錆びない。だから樹脂製のポンプなら、水はもちろんのこと、塩水やジュースなど糖分を含んだ飲料も送ることができる!」。

イワキは引き続き「錆びないポンプをつくること」に力を注ぎました。もちろん、錆びないという点ではステンレスも優れた素材でしたが、価格が高く、しかも場合によってはプラスチックより耐食性で劣るケースもあることを我々は知っていました。 だからこそイワキは、自社製品第1号となるポンプの材料として、当時の新素材であるプラスチックを採用することにしたわけですが・・・この続きは次号のお楽しみということで。

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