残された社史に基づき、イワキの歴史を紐解いていくこのコーナー。
文字通り「ポンプに賭けた」男たちの熱いドラマを、お伝えしていきます。

「錆びないポンプ」の力が認められた日

前回より、イワキの「技術力」に着目しながら、会社の歴史をもう一度振り返るべく「技術開発編」がスタートしました。創業から3年後の1959年(昭和34年)、ついにイワキは金型成型による「自社開発のケミカルポンプ」の製造を開始。その3年後の1962年(昭和37年)には量産化に成功します。

こうして誕生した、記念すべきケミカルポンプの第1号が、小型プラスチック製のうず巻ポンプ、通称【ラボポンプ・LP型】です。

「樹脂は劣化しやすく割れやすい。そんなものを使うなんて邪道だ」という見方もありましたが、いざ世に出してみると市場の反応は上々でした。イワキがこだわり抜いた「錆びないポンプ」というコンセプトと、マーケットのニーズが見事に合致したのです。

小型プラスチック製のうず巻ポンプ、通称ラボポンプ・LP型
その当時、水以外の流体に対応するケミカルポンプの用途として、非常に大きな市場に成長したのが「ジュースの自動販売機業界」でした。

といっても、現在のような缶入り飲料の自販機ではなく、コインを投入してボタンを押すと、紙コップにジュースが注がれるマシンです。

装置の上にある透明のアクリル製ドームにジュースを噴水のように吹き上げて、清涼感をアピールするスタイルのジュース自販機は、またたく間に全国へと広がり、それに伴ってイワキのケミカルポンプ第1号【ラボポンプ・LP型】の出荷数もうなぎ上りとなりました。

ジュース自販機のイラスト

新シリーズ「写真自動現像機向けケミカルポンプ」誕生

しかし、世の中はジュースのように甘いものではなく(笑)、この時の自販機ブームは一過性のものでした。乱立したジュース自販機メーカーが相次いで倒産し、市場も一気にしぼんでしまったわけですが、ありがたいことに、イワキのケミカルポンプの耐食性の高さは、確実な評価を得ることができたようです。

まもなく、「このプラスチック製のポンプなら、飲料のみならず、薬品も送れるのではないか」という理由で、異業種からの注目を集めることになっていったのですが、なかでも最も大きな市場に育ったのが、「写真の自動現像機向け市場」でした。世の中に求める方がいるのなら、それにお応えしないわけにはいきません! こうしてイワキはこの市場に向けて、ケミカルポンプの新シリーズをスタートさせていきました。

話の発端はS社からの引き合いでした。主な依頼の内容は、写真の現像に使用する薬品を送るポンプの液洩れをなんとかできないかというもの。写真を現像するには何種類かの薬品にフィルムを通すわけですが、それまで使っていた横型のポンプはメカニカルシールを使用していて、使用環境によっては薬品の結晶等の作用で液洩れが発生することがあったようです。

そこで、われわれは「ポンプを横型から縦型にしたらどうか!」と考えました。縦型のポンプなら、薬品タンクの上部に設置するため、たとえ液洩れが発生しても周りに影響を与えません。その上、装置全体をよりコンパクトできるのではないかと考えたのです。

こうして誕生したのが、「縦型ポンプVLP型」です。

縦型ポンプVLP型

まもなくイワキはこのポンプと共に、ケミカルポンプメーカーとしての快進撃を続けていくことになるわけですが・・・この続きは次号のお楽しみということで。

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