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ポンプに賭けた男たち
残された社史に基づき、イワキの歴史を紐解いていくこのコーナー。
文字通り「ポンプに賭けた」男たちの熱いドラマを、お伝えしていきます。
前回までは、公益財団法人海洋生物環境研究所(通称「海生研」)の大規模プロジェクトのお話をしました。約3年に渡ったこのプロジェクトが成功するまでには様々な苦難を乗り越えることが必要でしたが、そのおかげでイワキは、ポンプ単体を提供するだけでなく、コントロールシステムを含めた周辺設備までをご提案できる力を身につけることができたのです。これはイワキにとって、とても大きなステップとなりました。
「中国工業技術試験所」や「海洋生物環境研究所」以外には、イワキはケミカルポンプをあくまで単体で扱い、プラントシステムや装置としての開発依頼には着手してきませんでしたが、平成不況が続く1992(平成4)年になると、一時的に売上げがダウンしたことで、イワキはケミカルポンプのみを扱うことに限界を感じはじめていたのでした。そこで、「海生研」の経験を生かし、コントロールシステムを付加価値としたポンプを販売するための営業プロジェクトを立ち上げました。最初に狙いを定めたのは「食品産業」でした。
それまでイワキでは、食品業界向けには輸入のケミカルポンプを扱うのみでしたが、新たに『ポンプコントロールシステム・PFC』の販路を拡大していく方針が出されました。目指すターゲットは、食品の「ブレンディングシステム」です。
PFCの利用例 濃縮ジュース希釈・混合工程
ブレンディングシステムとは、ポンプで複数液を移送しながら、塩分やアルコール濃度などを測定し、流量を調節するシステムのこと。省力化はもちろん、複数の移送液を配管内でミックスできるため混合タンクが不要となり、そのまま充填工程へ移すことも可能となる画期的なシステムです。
このシステムの利点が伝われば、複数液をブレンドして製造するドレッシング、また、塩分調整の必要なめんつゆやしょうゆ、みそなど、さらに濃縮ジュースの希釈ブレンドや、アルコール濃度の調整などで使用されるようになっていくはずです。もちろん制御システムの仕様変更によって、もっと多彩なブレンドも可能です。つまり、イワキのPFCによるブレンド技術は、今後の食品業界にとって、非常に将来性のある技術だったわけです。
こうして、1994(平成6)年は、イワキケミカルポンプのシステム元年とでもいうべき年になったのですが・・・この続きは次号のお楽しみということで。
ブレンディングシステム IMIX
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