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ポンプに賭けた男たち
残された社史に基づき、イワキの歴史を紐解いていくこのコーナー。
文字通り「ポンプに賭けた」男たちの熱いドラマを、お伝えしていきます。
第52話 複数液をインラインで連続混合 食品用【ブレンディングシステム IMIX】誕生の瞬間 はこちら
前回は、イワキがポンプ単体ではなくコントロールシステムを付加価値とした営業戦略を打ち出し、食品業界向けにアプローチを開始した当時のお話をしました。きっかけは、とある大手食品メーカー様から舞い込んだ相談でした。この若きご担当者は、同社で企画開発中の新製品の製造ラインに、イワキのサニタリーロータリーポンプを使ってみたいと考えてくださったのです。そしてその新製品開発のために、イワキは独自の「ブレンディングシステム」を完成させることができました。
この案件の成功から、イワキは「今こそ食品業界のお役に立とう!」と決意し、翌1995(平成7)年、これまでの「システムプロジェクト」から枝分かれした特別部隊として「食品プロジェクト」を立ち上げる運びとなりました。
しかし、いざ食品メーカー様を担当してみると、これまでとはあまりに勝手が違い、戸惑うことばかりでした。
たとえば、取引先としてみれば同じひとつの会社でも、従来お付き合いがあったのは「水処理」や「排水処理」などの部門だったのに対し、食品製造ラインに組み込まれるポンプを納入するとなると、「設備」や「製造」部門など当然窓口も変わってきます。
中でも食品製造ラインは、24時間フル稼働というところも多かったので、担当者との打ち合わせは“午前2時から”なんてことも、ふつうにありました。当時、食品プロジェクトのメンバーたちからは、「地方出張に行っても、ホテルを取る必要がなかった」などいう話も聞こえてきたほどでした。
こうして、最初は戸惑いながらも、食品業界という巨大市場に向けて果敢にチャレンジを続けたことで、イワキは“一皮剥けた”会社になれたのかもしれません。装置組み込み用ポンプであっても、プロセス用であっても、お客様が抱える問題を解決すれば、すぐにより高い目標を与えられ、それをこなせばまた次というように、そのハードルはどんどん高くなっていきます。それを飛び越えていくことこそが、イワキらしさであり、イワキの使命であったのです。
ご存じのとおり1990年代に入って日本は、経済の停滞と部分的な発展、産業界の再編成、技術革新などにより、あらゆる社会構造の変化を体験したわけですが、その一方でお客様のみならず、社会や時代からのイワキに対する要求は、より厳しく多様なものになっていきました。
たとえば、ユーザーからは製品の品質保証や安全性、そしてより低価格な製品開発。また、製品のリサイクル化など省資源への取り組み、協力会社とともに環境保全を考慮した製造のあり方。そしてもちろん、技術革新によるより良い製品開発など・・・。
その中で、イワキはいつも「技術」というものの持つ力を知り、その育成に務めてきました。そして、社員一人ひとりが技術の追求のために地道な努力を続けることで、イワキの発展を支えてきたわけです。当然、その努力に終わりはありません。なぜなら、市場の要求には終わりはないからです。常に求められる以上のものを目指さねばならない・・・そのためには、技術者としての目でものを見るだけでなく、社会や時代の流れを見据えていくことが必要なのです。
「イワキの技術を支えるのはイワキ自身である。そのためには人材を育てればよい、コストも時間もかかるが、人を育てることが何より大事なのだ!」・・・こうした考えは、今までも、そしてこれからも変わりません。これは「KM式万能シェーカー」時代から続いているイワキの主義であり、イワキの開発の歴史は、イワキ技術者たちの歴史でもあるのです。
ポンプに賭けた男たち「技術開発編」完
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