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ポンプに賭けた男たち
残された社史に基づき、イワキの歴史を紐解いていくこのコーナー。
文字通り「ポンプに賭けた」男たちの熱いドラマをお伝えしてきましたが、「第54話」からは、昨年(2019年)他界したイワキ創業者である藤中義昭の人生を振り返っております。
>>> (第57話)創業者編|藤中義昭21歳、ガラスエ場開設を夢見て上京を決意
前回は、1949(昭和24)年、義昭が21歳の春にガラスエ場開設を夢見て上京した頃のお話をしました。知り合いのガラス職人たちに「上京してガラス工場をやらないか」と打診し、東京で一旗揚げようという威勢のよい仲間を集めることには成功したものの、世の中そう甘いものではありませんでした。
自分でまとめた「輸出カバーグラスエ場設立計画書」を持って、産業復興公団総裁から、銀行、実業家など、あらゆるつてをたどって事業の説明をしてまわりましたが、遂にスポンサーを見つけることができなかったのです。
義昭はやむなく方針を変更、独立の計画は先に伸ばすことに決め、再度就職することにしました。運よく知人の紹介でガラス管を仕入れて注射器に加工している会社に入社することになりました。東京の世田谷にある会社でした。
同社としては、ガラス製造技術を持つ者が入社すれば、それまで仕入れに頼っていたガラス管を自社製造することができるようになり、それが経営的に大きな魅力のようでした。
これまで義昭が独自に学んできたガラス製造の知識と技術が役立ったわけですから、まさに“芸は身を助く”といったところでしょうか。
その会社では工場長のような立場を与えられ、工場の立ち上げから任されました。まずは売りに出た工場を探して東京中を歩きまわり、やっと玉川用賀に社員寮つきのよい工場を見つけることができました。元ヤカン製造のプレスエ場ということでした。これで工場探しと同時に、大阪から呼ぶ職人の住まいの問題が同時に解決できたわけです。
ガラス窯、煙突、電気炉を設け、加工場と原料配合場をつくりました。自分なりに考えて改良も加えましたが、なにからなにまで一人でやらなければならず、目の回る忙しさではありましたが、とても充実した毎日でした。念願の独立こそ果たせませんでしたが、自分の手で、自分の計画を実現するのだという喜びは、何ものにも代えがたいことでした。
こうして工場準備が整い、ついに火入れ式の日がやってきました。自分の仕込んだガラス原料が溶融ガラスになる、記念すべき日です。もちろん、自信はありましたが、同時に不安もありました。みんなの見守るなかで職人が溶融ガラスを吹き、それがカバーグラスに加工されていくのです。
「成功だ!」 そこには、スジもキズもない美しいカバーグラスの姿がありました。一気に緊張がとけ、晴れやかな気持ちとともに笑いがこみ上げてきました。職人たちからも喝宋が起こり、長い長い苦労が実を結んだ感激の一瞬でした。
その工場は、しばらく順調でした。しかし、工場の設備のことで、次第に不満が頭をもたげてきたのも事実でした。窯が傷んできたために原料の溶融が充分でなく、満足できる製品ができなくなってきたのです。窯を新しくするべきだと何度も社長に進言しましたが、社長はなかなか腰を上げようとしませんでした。しかたがないので、窯をだましだまし製造を続けましたが、遂に「もうこれ以上は無理!」という限界にきてしまいました。これは技術者の良心の問題でした。
正直なところ、もともと義昭は「ガラス製造は長く続ける仕事ではない」と感じていました。それは健康面の問題です。ガラスエ場で働く人の職業病に「珪肺(けいはい)」という恐ろしい病気があります。これは、ガラス原料であるケイ砂の粉塵が肺に入り込んで起きる塵肺の一種です。さらに、鉛や亜硝酸などの有害物質が人体に入り込む可能性もありますし、熔融ガラスの熱は1400~ 1500℃にもなるので、光で目を傷めるうえに、夏などは脱水症状をまぬがれません。
それらに加えて、事業としての限界も感じていました。手作業に頼るカバーグラス加工は「職人の数=生産性」であるために、発展性が乏しいように思えたのです。かくして退職を決意することになりました。そして製造の責任者である自分が辞めるにあたって、後任を技術常務だった方にお願いしました。経験豊富な彼が引き受けてくれるならばと、社長は快く退社を認めてくれました。そのうえ、次の就職先として神田にある理化学機器商社を紹介してくれたのですが・・・この続きはまた次回にいたしましょう。
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