このコーナーでは、ポンプにまつわる様々な「専門用語」にスポットを当て、イワキ流のノウハウをたっぷり交えながら、楽しく軽やかに解説します。今まで「なんとなく」使っていた業界の方はもちろん、専門知識ゼロでもわかる楽しい用語解説を目指しています。文末の「今日の一句」にもご注目ください。クスッと笑えて記憶に刻まれるよう、毎回魂を注いで作っております。

今回の用語は>>>>> 急速排気弁

【急速排気弁(QEV)】Quick Exhaust Valve=クイック・エキゾースト・バルブ
排気エアを電磁弁(ソレノイドバルブ)まで戻さずに、スムーズに排気を行なうための弁。

これまで「減圧弁」「切替弁」、そして切替弁には「電磁式切替弁(通称:電磁弁)」と「空気式切替弁」があることをお話ししてきました。

今回スポットを当てた「急速排気弁」。読んで字の如く「急速に・排気する・弁」なのですが、それだけで説明が終わる「ポンなる用語」ではもちろんございません。一体何を「急速」に「排気」するのか?がミソなんです。では今回も深く斬り込んでまいりましょう。

2つのポンプ室を持ったエアー駆動ポンプの動きは、「右で吸ったら左で出す」「左で吸ったら右で出す」でしたね。ポンプがご機嫌に仕事をするために、空気の道を創り出すのが切替弁のお役目。絶妙なタイミングでスーハースーハーできるように、地味な作業をコツコツと、ただひたむきに取り組んでくれています。

でも、人間も一人より二人、仲間がいれば頑張れるように、弁の世界だって一弁より二弁です。ひとつの切換弁だけではポンプからの排気が間に合わず、ポンプに負担がかかってしまうことも・・・。

じゃぁさ、空気の道を別に作っちゃえば、もっと効率よくスーハーできんじゃね?

と、開発者が思ったかどうかは定かではありませんが、排気専用の道を“別ルート”で確保するのが急速排気弁に与えられたミッションです! 勝手に命名するなら“究極の横道仕掛人(弁)” それが急速排気弁です。

では、急速排気弁(QEV)の外見を改めて熱い視線で見てみましょう。IN、OUT、EXの3つのポートを持っています。

急速排気弁(QEV)

これをポンプ本体と電磁式切替弁(電磁弁)の間に設置します。すると [IN] → [OUT]、[OUT] → [EXT]という2つの動作を行います。

本体と電磁式切替弁(電磁弁)の間に急速排気弁を設置した図

では、[IN] → [OUT]、[OUT] → [EXT] の2つの動作を、下の急速排気弁の構造図で見てみましょう。電磁弁から供給された圧縮空気は急速排気弁のINからOUTを通過し、ポンプに届けられます。そして、ポンプから出た排気は、急速排気弁のOUTに送られ、EXから大気へ開放されます。

急速排気弁動作

今までは電磁弁一人(弁)がやっていた排気作業を、途中で引き受けてくれるんですから、ポンプにとっては排気抵抗が減るので、楽に排気ができて大助かり。このように急速排気弁を取り付けることによって、ポンプの保護(ベローズの延命)や、エネルギー損失の低減といった効果を得ることができるんです。

勝手にポンプの気持ちを代弁(弁だけに。なんつって)するならば、

「もう、急速排気弁はんのお陰で、楽させてもろてます〜。ほんま、おおきに〜」

とったところでしょうか。ちょっと京都風にしてみたのは、最近京都に行く機会があったからで、深い意味はございません(汗)。

エンジニアから一言

急速排気弁のEXポートには「サイレンサ(マフラ)」を取り付けるか、EXHポートから排気ダクトへ配管する必要があります。また、よりスムーズに排気を行うため、急速排気弁は、極力ポンプに近い位置へ取り付けます。

急速排気弁は各種メーカーが製作・販売しており、金属製で塗装してあるものが一般的ですが、イワキオリジナルの急速排気弁はひと味違います!

外観素材には耐食性に優れた「塩ビ(PVC)」を、内部のパッキン、Oリングにはフッ素ゴムを使用しています。この耐食性の高い急速排気ポンプを電磁弁の間に取り付けることで、リターンエアーによる電磁弁の腐食を低減し、電磁弁を延命することができます。

今日の一句

車も空気も「横道」使えば、渋滞知らずでス〜イスイ♪
新たな道を作り出すQEVはポンプの味方!

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