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ポンプに賭けた男たち
残された社史に基づき、イワキの歴史を紐解いていくこのコーナー。文字通り「ポンプに賭けた」男たちの熱いドラマをお伝えしております。第61話からの【レイシー編】では、水生生物や研究分野におけるイワキのブランド「レイシー」の歴史を紐解いてまいりましたが、レイシー編は今回で最終回となります。
>>>(第65話)レイシーをトップブランドに押し上げた製品群に迫る
前回は、レイシーを業界のトップブランドに押し上げた製品ラインアップに迫りました。株式会社レイシーは、イワキのケミカルポンプを観賞魚業界という新分野で販売するため、1965(昭和40)年8月に設立された会社です。
イワキブランドではなく「レイシーブランド」で販売を行うことで、観賞魚業界では、最初から「メーカー」としての認知を得ることに成功。レイシー独自の新製品については、それぞれの分野の専門技術を持った協力会社とのタイアップなどで共同開発を行い、OEM製品としてレイシーブランドでの販売を行ってきました。
OEM製品である以上、もちろん金型などの開発投資は必要ですが、自社で工場を持たず、固定費用の発生しない身軽さには、経営上のメリットがあるものです。これは、レイシーの大きな特徴であり、その姿勢は今後も変わらないと思われます。
イワキが創業40周年を迎えた1995(平成7)年には、レイシーの業績は順調に伸びていました。ペット産業が急伸するなかで、海水魚飼育の普及はゆっくりとしたペースで進んできましたが、時代が進むと、単に「海水魚を飼う」ということではなく、部屋に植物があると心が落ち着くように「身近に海を置く」ことが静かなブームにもなりました。
レイシーの仕事は「観賞魚の生命を育むという難しさ」もありますが、人間の本質に関わる魅力があります。
そういった視点でレイシーの事業を見ると、観賞魚の枠を超え、もっと社会のお役に立てる道があるように思えてきました。そんな中、大阪支店でレイシー担当をしていた社員に「ある相談」が持ち込まれたのです。
彼は理化学機器の業界から転職してきた人物でしたが、熱帯魚店を中心に営業にまわるものの、これといった成果を得られない日々が続いたと言います。なんとか活路を見出そうと、ふと足を向けた先は、かつて取引のあった大学の研究室でした。
自分が転職をしたことなど、いわゆる世間話をしている中で、ふと教授が「最近、研究用に小型魚類の飼育をしているんだが、水槽の管理が結構面倒でねぇ」という相談を持ち掛けてきました。その研究室では外国製の水槽設備を使っていたのですが、レイシー担当者から見ると、改善点が多々あったようです。
その日をきっかけに、彼はその研究室によく顔を出すようになりました。そのうち、研究者はみな自分の研究に没頭したいわけで、実験に使う小型魚類の飼育など、わずらわしいことになるべく時間を使いたくないと思っていることがわかってきました。
そこで彼は、自分の専門知識や情報を出し惜しみすることなくその研究室のために役立てようと、機器販売のみならず水温や水質の管理から、ある時は研究室の引っ越しに伴う水槽の移動までを請け負いました。教授たちから感謝されたことは言うまでもありません。
そんな時期が一年は続いたでしょうか…ある時、その研究室から「水槽設備を新しくしたい」と相談を受けた彼は、既製品では何を使っても「帯に短し、たすきに長し」なので、研究室の使い勝手に合わせた設備を自社で作ろうと思い立ち、早速行動に移したのでした。
この出来事が、「小型魚類集合水槽システム LAbREED(ラブリード)」という新製品を生み、やがては現在の「イワキアクアティック」へとつながっていくのですから面白いものです。この事業がこれからどんな成長を見せるのか・・・レイシーには“イワキの夢”が詰まっているのです。
ポンプに賭けた男たち「レイシー編」完
なお、イワキアクアティックについては、下記も併せてお読みいただけると幸いです。
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