「気になる」ことがあれば突撃取材を惜しまないメルマガ編集部こと「イワ気になる隊」。先頃からイワキアメリカを中心に「アクアティック」事業が熱いらしいとの噂を耳にし、早速担当者に突撃インタビューしちゃいました。

なんでも今年(2020年)の年末には、IWAKI AQUATIC(イワキアクアティック)というブランド名で、小型魚類集合水槽システム LAbREED(ラブリード)のグローバルモデルが世界へ向けて発売されるというのです。アメリカではすでに公式サイトもリリースされているようで、魚をモチーフにしたロゴマークもかなりの可愛さです。

IWAKI AQUATIC ロゴ

「イワキアクアティックって何?」「レイシーとはどう違うの??」・・・気になり出したらもう止まらない気になる隊を笑顔で迎えてくれたのは、これまで水族館の取材などでもお世話になった製品戦略部の川島さんです。

── お久しぶりです。しばらく水族館取材もなかったので、お目にかかれずに寂しかったです。

「熱烈歓迎ムードだなぁ(笑)。そういえば、沼津港深海水族館へも一緒に行きましたよね」

── いくつかの水族館を取材させていただき、【レイシー】が、いかにアクアリウム業界から信頼の厚いブランドであるかがよくわかりました。そこで素朴な疑問なのですが、ズバリ! イワキアクアティックはレイシーとどう違うのでしょうか?

製品戦略部システム・レイシー戦略担当 川島さん

「レイシーは、日本国内でホームアクアリウムをはじめ、水産・養殖設備、水族館、研究施設などで、水生生物の維持管理を行う上で必要となる機器類を扱うイワキのブランドです。

一方イワキアクアティックは、水生生物を用いた研究用途で、モデル動物を安定して効率よく飼育管理するための水槽システムを提供しているイワキのブランドとなり、現在は日本のみならずアメリカでも展開されています。今年の年末には世界へ向けて、LAbREEDのグローバルモデルの発売も決まり、チーム一丸となってがんばっているところです」

── なるほど。イワキアクアティックはグローバルブランドというわけですね。いつからこの事業がスタートしたのですか?

「立ち上げは2016(平成28)年でした。元々は日本でレイシーとして手掛けていた水生生物を用いた研究用途向けの飼育管理装置(LAbREED)を研究・分析の分野向けに特化してグローバル展開するため、イワキアメリカとの協業により、プロジェクトチームを発足したんです」

── 研究・分析の分野向けに特化したのは、何か理由があるのでしょうか?

「社会的な背景としては、動物愛護の観点からも、哺乳類を用いた研究・実験はしづらくなっているという環境があります。
また、研究用のマウスやラットを維持管理するには、意外なほど高額な費用がかかるという理由もあります。それに対し、水生生物を用いた場合には、維持管理費用が100分の1で済むとも言われています」

── それは、世の研究者の先生方に、ぜひとも知っていただきたい情報ですね。

「はい。現在私たちが知る限りでも、ヒトの疾患や遺伝子の解析、化学物質の人体への影響、また医療・製薬/創薬、環境などに対する様々な分野での研究が行われています。その中で研究用のモデル生物として、ゼブラフィッシュやメダカなどの小型魚類をはじめ、ゼノパス(アフリカツメガエル)などの両生類が注目され、その他にも海水魚、古代魚、脊索動物、軟体生物、甲殻類に至るまで、研究用途に応じて様々な水生生物が用いられているんです。

ゼブラフィッシュ
ゼノパス

研究をスムーズに進めるためには、これらのモデル生物をいかに安定して効率よく維持管理していくかが重要です。しかしながら日々、水換えや清掃による水質の管理や各種機器類の点検・調整作業に追われ、肝心な研究が思うように進まないという研究者・研究施設があるのが実情です。また、今まで水生生物を扱った経験がないという研究者の方々もおられます」

── なるほど! そこでイワキの出番というわけですね。

「そうなんです。レイシーの担当者は、永年にわたり培ってきた水生生物の維持管理に必要となる機器類と飼育管理のノウハウを活かし、研究用途や生体の種類に合わせ1台でも数多くの生体管理が容易に行える飼育管理装置はもちろんのこと、経験のない研究者には生体の飼育管理方法に対するサポート、機器類のアフターサービスに至るまでを提供しています。

もう少し具体的な話をしますと、イワキは機器メーカーでありながら自社でモデル生物となる研究用の水生生物を常時数百~数千匹維持管理し続けているんです。この目的は製品・装置の評価のみならず、自分達で実際に生体の維持管理や分析などをすることで、飼育管理方法や研究・分析のノウハウを習得している他、装置や機器類を使っていただいている研究者の目線で、 常に新たなモノ作りをするためにも役立てています。

単に「装置」と言えど、そこに搭載されている機器類のほとんどがイワキ/レイシーの製品で構成されているのも特徴のひとつで、専門メーカーとして、法律で定められている電気用品安全法(PSE)にも適合した安心・安全の装置を提供することができるということも、あらためて皆さまにお伝えしたいと思います」

── レイシー製品に対する愛を感じます。そういえば、川島さんはもともと「レイシー」という会社に入社されたんでしたよね?

「はい。95年に株式会社レイシーに入社しました。まだ、イワキとは別会社だった時代で、当時東京では10名ほどのメンバーで仕事をしていました。

そもそも【レイシー/REI-SEA】という名称は、「麗しい海」という意味から名付けられたそうです。株式会社レイシー設立当時、日本では古くから親しまれていた金魚や鯉などの「淡水魚」に加え、新たに「海水魚」の飼育が普及し始めていました。しかしながら、それまでに使われていた機器類では、腐食性のある海水に対して耐久性もなく、多くの人が困っていたそうです。

そこでケミカルポンプメーカーであるイワキの出番となり、海水でも安心して使用でき耐久性のあるポンプとして、業界内でも認知されていきました。その経験と実績を生かし、アクアリウム用機器類に特化したメーカーとして、株式会社レイシーが1965年に誕生したんです」

── なるほど。レイシーの歴史についても、かなり気になりますね!

「私が入社する前どころか、生まれてもいない頃にレイシーは誕生し、今まで数多くのご指導・ご支援をいただいたお客様と諸先輩方の尽力によって、長きに渡り信頼と実績を培ってきました。レイシーはアクアリウム用のポンプメーカーとしてスタートし、その後ポンプ以外にも上部式フィルターや水温調節用のクーラー/ヒーター、サーモコントローラ、紫外線殺菌灯などの飼育管理には必要不可欠となる機器類をラインアップしていきます。

レイシー設立当時のメンバー
レイシー設立当時のメンバー

また、それと同時にホームアクアリウムのみならず、活魚料理店や釣り餌を扱う釣具店に、更には水産・養殖施設、水族館、研究施設などにも販売チャネルが広がっていきます。

そうした中で「ポンプに賭けた男たち(第48話)」でご紹介した『海生研』のエピソードにも繋がっていきます。

その後は、今でこそ目にする機会が増えてきた『深海生物』の維持管理や、皆さまが一度は行かれたことがあるであろうテーマパーク、商業施設などの『水景設備』、そしてイワキアクアティック発足のキッカケとなる水生生物を用いた研究の分野へも展開していきました。

ダイオウグソクムシ

そしてレイシーが持つポンプ、温調装置類、紫外線殺菌装置などは、イワキとして展開している医療や食品、水処理などの様々な分野でも活躍するようになり、現在に至ります」

── お話は尽きませんが、この続きはまた次回お届けします。どうぞお楽しみに♪

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