このコーナーでは、様々な分野で使われているイワキのポンプの中から、「え?こんなところに?!」と思っていただけるポンプの現場にスポットを当て、いろんなシーンで活躍するポンプをご紹介しております。今回も、「ゆかり」のふりかけを製造する広島市の三島食品様から、メルマガ編集部こと「イワ気になる隊」が渾身のレポート「後編」をお届けしたいと思います。

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工場見学の前にまずは“バーチャル” 工場見学!?

前編では、「ゆかり」の誕生秘話など、“気になる”お話をたっぷりとお聞かせいただき、早くも三島食品様の大ファンになってしまった「イワ気になる隊」ですが、いよいよお待ちかねの工場見学の時間がやってまいりました。と、その前に・・・同社のWebサイトにはバーチャル工場見学というページがあり、パソコンやスマホから、広島工場内の360度画像を4Kを超える解像度でお楽しみいただけるんです。広報担当マネジャーの佐伯様によると、

「先ほどもお話しましたように、当社は宣伝広告をしないというポリシーを貫き通してきました。しかし同時に、食の安全・安心に対する社会の眼が厳しくなっているこの時代に、食品メーカーとして情報開示をすることの重要性も感じておりました。そんな中、縁あって広島市のベンチャー企業から技術提供をいただき、このような『バーチャル工場見学』のページを、2017年7月7日の『赤しその日』に公開することができたのです。工場見学を終えたお子さんたちも、家に帰って親御さんと一緒に見てくれているようで、かなりよい反響をいただいています」

なるほど! 同社が目指す「見える化」の一環としても、素晴らしい取り組みではないでしょうか。

それではいよいよお待ちかねのリアル工場見学へと出発で~す! お忙しい中、ご案内役を務めてくださるのは広島工場 第二工場職長の藤岡様。帽子・白衣・マスクの3点セットに身を包み、すっかり工場見学モードに変身した「イワ気になる隊」なのでした。

原材料にこだわり、手間を惜しまず“味”を追求!

この広島工場では「ゆかり」などのふりかけを中心に、家庭用・業務用合わせて480種類もの製品がつくられており、約50種類の原料と約100種類の調味料が使われているそうです。その中でも最も多く使われている原材料が赤しそ。

ちなみに、同社は約20年の歳月をかけて、ふりかけに向く赤しその新品種「豊香®(ほうこう)」を独自に開発し、北広島に自社農園もお持ちです。その他にも、国内外で契約栽培をお願いしており、なんと年間で約3700トンもの赤しそを仕入れているのだそうです。

原材料倉庫に置かれたブルーの樽の中には、塩もみして余分な水分とアクを抜き、塩酢に漬けられた赤しそがギッシリ! 「ゆかり」の製造は、この赤しその洗浄から始まるのです。といっても、洗濯機を使ってチャチャっと済ますわけではなく、人の手で赤しそを丁寧にほぐしながら、同時に異物の混入がないかを厳しくチェックしています。ここから先の加工工程はほぼ自動化されているので、万が一異物が混ざっていると、機械自体が破損してしまうという惨事にもなりかねないからです。

手間をかけているのは赤しその選別や洗浄だけではありません。たとえば、ふりかけには欠かせない「かつお節」。効率化を考えれば、削り節を仕入れるという手もあるでしょうが、こちらでは必要な時に必要な量だけ、その都度削っているのだとか(@_@) そりゃ、削りたてが美味しいに決まっていますものね!!

しかも、削ったそばから、すぐ味付けの工程に入るのです。そうすると調味料がコーティング剤の役割をするので、風味が損なわれにくいのだそうです。このあたりにも、同社の熱いこだわりを感じずにはいられませんでした。そして、その良い香りにそそられ、そろそろあったかいご飯が恋しくなってきました。お腹の虫が今にもグググッと鳴り出しそうな「気になる隊」なのでした(笑)。

また、ふりかけなどに入れる「海苔」も、専用機で1枚ずつ焼いてから、その都度「刻み海苔」にしているそうです。さらに、ちょっとした遊び心も加えていて、「ハート」に型抜きした「ハート海苔」を、製品にこっそり混ぜているのだとか。ここだけの話、瀬戸風味シリーズなどに、20瓶に1つの割合で入っているそうですから、よかったら「ハート海苔探し」にチャレンジしてみてください (^_-)-☆

「ハート海苔探し」にチャレンジしてみてください

「私たちが愛情こめて海苔を焼いています」こちら気になる隊ではなく「焼き海苔隊」

さらに驚かされたのが「ごま焙煎場」の存在です。創業者のこだわりから、同社はあえて「生ごま」を仕入れ、その日に必要な量だけを、400℃の高温で焙煎しているのです。もちろん、煎りたてのごまの風味はひと味もふた味も違いますが、なんとも手間のかかる作業ではありませんか! しかも、400℃の高温での作業となると、他の機械とは離れたスペースを確保する必要があり、工場内も手狭になるので、何度も導入を止めようと進言したそうですが、創業者は頑として聞き入れられなかったと言います。

やはり、味と品質をとことん追求するには、このくらいの強いこだわりが必要なのですね。残念ながら、この日は焙煎作業を拝見できませんでしたが、下の写真をご覧ください。こちらも、自社開発した専用機だそうですが、ごまが無ければ、ジェットエンジンの一部と見紛うほどの美しいフォルムですよね(#^^#)

展示パネルより

あいにくこの日のごま焙煎作業は終了していました

「ゆかり」製造の肝は乾燥にあり!?

さて、前置きがすっかり長くなってしまいましたが(笑)、ここからが本番、いよいよ「ゆかり」の製造現場に潜入です。さて、前編にもちらっと登場したこの機械のことを覚えていらっしゃるでしょうか?

そうです! 「ゆかり」専用の乾燥機でしたね。洗浄⇒切断⇒味付けの工程を終えた赤しそが入り、7~8分かけて乾燥すると・・・あら不思議! 乾燥機に繋がった配管からは、サラサラになった紫色の粉末が出てきます。

藤岡様によると、「じつは、『ゆかり』をつくる苦労は、この乾燥の工程にあるんです。ともすると、こげてしまったり、あるいはダマになったりしてしまうので、これを解消するために、専用の乾燥機を開発したんですね。

しかし、専用機であるがゆえにその洗浄もかなり大変でして、内部に付いた撹拌用のハネの裏側まできちんと洗うのは、至難の業でした。そこで先ほどもお話したように、イワキさんにご相談したわけなんですが、この機械を自動で洗浄できるようになったことは、『ゆかり』の製造工程において、とても大きな改善でした」

まさにこのコーナー「こんなところにイワキです」にふさわしいお話をお聞かせいただけました。こちらこそ、お役に立てて何よりです!

さて、乾燥の次は「ふるいにかける」作業へと移ります。

こうして、粒ぞろいの「ゆかり」が誕生するわけですね。とくとご覧ください! ひと粒ひと粒が紫に輝き、なんとも美しいではありませんか。

この後、最終段階として、「人の眼による厳しいチェック」が行われます。お客様に自信を持って「安全・安心」をお届けするために、100%機械に頼らず、最後は「目視」による検査を実施しているのです。それにしても、この細かい作業を担当されている女性たちのスペシャリストぶりには、頭の下がる思いでした。

無事に検査を通過した「ゆかり」は、皆さんおなじみの小袋へと充填されます。さらに箱詰めされ、気持ち良さそうにすべり台を通ってカートンに納まり、お客様の元へと旅立っていくのでありました\(^o^)/

さて、ここで問題です。「ゆかり」ができるまで、どれくらいの時間がかかるでしょうか?(機械に赤しそを入れてから、2F出口に出てくるまでの時間)

① 30分 ② 100分 ③ 50分

じつは、工場見学のルートには、随所にこうした「三島クイズ」が仕掛けられているんです。これも、子供さんたちに楽しんでもらう工夫のひとつなのですね。ちなみに気になる正解は・・・?!

③「50分」でした。

いささか駆け足ではございましたが、「ゆかり」の製造現場をご覧いただきました。この後再び、インタビューを行った事務所へと戻り、長年設備をご担当されていたとおっしゃる観音工場統括責任者の漆原様に、ご挨拶がてら、こんな質問をぶつけてみました。

── おかげさまで、工場見学を楽しませていただきました! この機会にぜひ、イワキへのご意見・ご要望、とくにご不満などあれば、何なりとおっしゃってください。

「今日見ていただいた他にも、イワキさんのマグネットポンプは、機械の冷却水をつくるためにも使わせていただいているんですが、そのポンプなどは『そこにあって当たり前』で、うっかり存在を忘れていてもきちんと動いてくれているので、とくに不満はないですが・・・しいて言うなら、担当営業さんが3年から5年くらいで変わられますよね。そうすると、またイチからコミュニケーションを取り直さないといけないところですかね」

── ご意見ありがとうございます、ぜひ改善していきたいと思います。他にご要望などはございませんか。

「内部の構造が見えるように、アクリル製かなにかのシースルーのポンプがあったらおもしろいなぁと思うことがあります。たとえば、新人への講習会なんかで使ったら、ウケるんじゃないかな」

── イワキでも、展示会用にシースルーのデモ機を持ってはいるのですが・・・ひとつのアイデアとして、ありがたく頂戴いたします。

さてさて、楽しい時間はすぐ過ぎてしまうもので、“大人の工場見学”をしているうちに、あっという間に時間が過ぎ・・・表へ出ると、すでに夕暮れ時が近づいていました。爽やかなブルーの看板を見上げながら、お名残り惜しくも、三島食品様を後にした「イワ気になる隊」なのでした。

とっても “気になる” ふりかけ資料館へ突撃!

じつは今回の取材に先立ち、三島食品様のホームページを拝見する中で、とっても“気になる”ページがありました。そこには「ふりかけ資料館 楠苑」とあったのですが・・・世界広しといえども、「ふりかけ」に特化した資料館など、ここだけに違いありません。好奇心旺盛がウリの「イワ気になる隊」ですから(笑)、これを見逃すわけにはいきますまい。ということで、翌日は朝から広島営業所の許斐(このみ)課長の引率で、この資料館を訪れてみることにしました。北広島町有田という、広島市内から車で小一時間の場所にあるのですが、到着時間には、田辺副苑長をはじめ3名のスタッフの皆さんが、玄関までお出迎えくださいました。

一見、迎賓館か何かと見紛うほどの素敵な建物ですが、こちらは創業者である三島 哲男氏の生家のあった場所とのこと。同社40周年の記念事業として、平成3年12月に設立されたものだそうです。監修は、グラフィックデザイナーの先駆けとして有名な河野 鷹思(こうのたかし)氏。河野氏は、同社の契約デザイナーとして、ロゴマークや商品パッケージのデザインをしていた時代もあり(※現在のロゴは松永 真氏のデザインです)、創業者とは気心の知れた仲だったようですから、随所に想いのこもった建築物となったのでしょう。

楠との深い縁(ゆかり)

昨日伺った広島工場にも立派な楠がありましたが、こちらの玄関にも、大層立派な楠がそびえ立っています。もっとも、この建物自体が「楠苑」と名付けられているわけですが、そもそも「楠」と同社は、どのような関係があるのでしょうか? そんなわれわれの「???」を感じ取った田辺副苑長が、丁寧にご説明くださいました。

「楠は大地に深く根を張る植物です。創業者の三島 哲男は、ある時台湾で行われたふりかけ協会の記念行事の帰り道に、僅かの時間を割いて大宰府天満宮に立ち寄ったようなのです。そこで樹齢1500年の楠の巨木と運命的な出会いをしたわけですね。その巨木の霊気に包まれるように、しばしそこに佇んだそうですが、これぞ自分が学ぶべき経営哲学であると感じ取り、その出張から戻るや否や【楠経営】という理念を掲げるようになったのです」

なるほど~! 三島食品様と楠は、切っても切れない縁(ゆかり)で結ばれているのですね。

1階にはふりかけの歴史、2階には会社の歴史がギッシリ!

建物の1階は「ふりかけのプラットホーム」として、自社ばかりでなく、各メーカーの製品、しかも歴代のパッケージまでもが、美しく展示されています。

そもそも、「ふりかけ」とは、誰が考え出したものなのでしょうか? さすが「ふりかけ資料館」です。その答えも、バッチリと展示されていました。

ふりかけのルーツは、大正の初期、熊本で薬剤師をされていた吉丸末吉さんという方が、日本人のカルシウム摂取量が少ないことを心配され、小魚を姿のまま乾燥させ粉末にしたらどうだろうと思いつかれたことがきっかけなのだそうです。

そして、製品化第一号は、二葉商事(現在の株式会社フタバ)の「御飯の友」。この100年余りの歴史がすべて詰まった資料館は、まさに貴重な存在ですね!

もし今「ふりかけ検定」を受けたら、「イワ気になる隊」メンバーも、かなりの好成績を残せるのではないでしょうか(笑)。

さて、ふりかけの歴史を堪能し、続いて階段を上ると、そこには三島食品の歴史がギッシリ詰まっていました。中でも目を引いたのがコレ!

じつは、「気になる隊」の中に、この「遠足の友」で育ったメンバーがいたのです。思い出のふりかけに遭遇し、あまりの懐かしさにそっと目頭を押さえて・・・はいませんでしたが(笑)、子供の頃に記憶した味は、いつまでも忘れられないものかもしれませんね。

しかし、ふりかけは懐かしいばかりではありません。今やシーズニングのひとつとして、海外で人気を呼んでいるのです!

とくに「ゆかり」は乳製品との相性も良く、ヨーグルトドレッシングに混ぜてサラダにかけるのがおすすめだとか。その他にも、バニラアイスやポップコーンにかけたり、鮭など魚の切り身にかけてソテーしたり、お料理はちょっと…という方は、カクテルの「ソルティドッグ」の塩の代わりにグラスのフチに「ゆかり」を付けて「ゆかりドッグ」といった楽しみ方もあるようです。ふりかけも、アイデアしだいで使い方色々ですね(*^^)v

2階フロアーもお宝満載で、まだまだレポートしたいことはあるのですが、そろそろお時間が来たようですので、最後にひとつだけご紹介させてください。こちら壁一面にあるのは、永年勤続者のネームプレートです。

毎年こちらの楠苑では、永年勤続の表彰が行われているそうですが、中にはご家族をここにお連れになって、ご自分のネームプレートを見せる社員の方もいらっしゃるのだとか。このプレートひとつ見ても、会社が社員の方を大切にされていることがよくわかります(#^^#)

以上、前編・後編にわたってお届けした「こんなところにイワキです ~三島食品様の巻~」はいかがでしたでしょうか? まさに「縁もゆかりも一期一会」。こうして取材させていただけた“ご縁”に心から感謝したい気持ちです。ありがとうございました!

 

●「ゆかり」は、「三島食品株式会社」の登録商標です。

三島食品株式会社

創業 1949年(昭和24)1月
本社所在地 広島市中区南吉島
国内製造拠点 広島工場・観音工場(広島市) 関東工場(埼玉県坂戸市)

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