このコーナーでは、イワキの技術力が支える様々なジャンルをご紹介しつつ、その製品が使われている分野が意外なほどに広いということをお伝えしてきましたが、今回はいつもと少し視点を変えて、「イワキのメンテナンスサービス」にスポットを当てるべく、現場へと繰り出してみました。

イワキの仕事は適材適所のポンプを提供するだけではありません。ユーザーの皆さまがポンプをより長く安全に使用していただくためにサポートすることも、イワキの大切な役目のひとつなのです。

今回取材に伺ったのは、東京都江戸川区にある江戸川清掃工場。その日はお天気も良く、穏やかな取材日和。青空に凛と立つ真っ白な煙突が、とても印象的でした。

東京23区には現在20カ所の清掃工場が稼働しているのですが、ここ江戸川工場は、可燃ごみ(燃やすごみ)を処理しています。毎日平均して400台、繁忙期には550台(これがMAXだそうです)のごみ収集車が回収したごみが、この工場に集められています。1台につき、1トン以上のごみを持ってくるので、単純計算しても400トン以上!

いきなり「400トン」と言われても、あまりに数が大き過ぎてピンと来ないので、身近な物に例えてみます。2リットルの水が入ったペットボトルが20万本! キログラムに直してみると、なんと40万キログラム! ふぁ~っ! どれだけ膨大な量を毎日扱っているのか、感じていただけたでしょうか?余計にわかりにくくなった?!

こうしてごみは処理される

江戸川清掃工場では、このような工程で可燃物を処理しています。

【回収車のごみ計量】→【ごみバンカに保管】→【バンカ内でクレーンによりごみを均一化】→【高温で焼却】→焼却により発生した熱エネルギーは、発電などに再利用

→焼却により発生した排ガスは、キレイに処理して煙突から放出
(処理工程内で出た灰は埋め立て処分するかセメントなどに再利用)

→ごみより発生した汚水は、キレイに処理して下水道(江戸川)に放水

清掃工場のしくみ

今回の取材対象は、汚水処理に使われている定量ポンプのメンテナンスです。メンテの現場に入る前に、まずは清掃工場全体をご案内したいと思います。森を見れば木がわかるように、どの部分で活躍しているポンプなのかがわかれば、それだけ愛情も湧いて来るというものです。

では、詳しく見ていきましょう。気になる探検隊、全力で「オトナの社会科見学」に挑みます!!

ごみの回収

まずは回収車が持込んだごみの重さを計ります。計量棟の台貫自体が大きな計量機になっているので、誘導ランプの指示に従って車を止めれば自動的に重さが計れるのです。

ごみの貯め方にもコツがある!

ごみの行き先は「ごみバンカ」という、とてつもなく大きな容器。ここに2台の巨大クレーンがあり、豪快にごみを掴んでは、高い位置から落下させていきます。この作業はまんべんなくキレイに燃やせるようにするための下準備。落下による衝撃でごみ袋を破って中身を出し、ごみを「均一化」するのだそうです。

2台の巨大クレーンは、まるで相手の動きをお互いに把握しているかのように、絶妙なタイミングで動いています。わりと至近距離に近づくこともあり、ぶつかったり絡まったりしないのか?と、ちょっとドキドキしましたが、心配はご無用。現在はすべてコンピュータによる自動制御なので、間違いは起こらないのだそうです。

ダイナミックなクレーンの動きに、しばし見とれる気になる隊。誰とはなしに「まるで大きなクレーンゲームみたいだねぇ〜」なんて言葉が飛び出していました。

ただ燃やすだけじゃない! 焼却の仕方にも工夫が

ここで均一にならされたごみたちは、隣の焼却炉に運ばれ、極めて高温で24時間連続焼却されます。その温度、800度以上! この灼熱で焼き尽くすことで、臭いやバイ菌、ダイオキシンなどの汚染物質の発生を抑えることができるんだそうです。

焼却炉内は火格子が階段状になっていて、ごみが燃えながら上段から下段に徐々に移動していくのですが、火格子下部から熱風を送り込むことによって、ごみを乾かし、水分を飛ばしてから勢いよく燃焼していくのです。熱風を効果的に使うことで、ごみ自体が発火してよく燃えるように作ってあるんですね。

その説明を聞きながら、気になる隊の隊員は口々に「へぇ〜」「すごぉ〜い」と、自然と感嘆符が口から出てしまっています。さすが日本のものづくり。ここまで考え尽くされているとは、頭が下がる思いです。

焼却炉内を実際に見ることはできませんでしたが、見学者用の実物大の扉のオブジェがあり、扉のハンドルを回したりして、雰囲気だけはたっぷりと味わいました。

焼却熱もしっかり再利用

この焼却によって発生した熱エネルギーは、ボイラーによって回収され、蒸気をつくります。その蒸気を利用した蒸気タービン発電機に運ばれ、現在12,300キロワットの発電を行っているそうです。

作られた電気は施設内で利用し、余った電気は電気事業者に売却しています。また、隣接する江戸川区立「くつろぎの家」に熱供給し、冷暖房やお風呂、足湯などに利用されているんですよ。素晴らしきエネルギーの輪が出来上がっているんですね。

メンテナンスサービスの現場に直撃!

それでは、お待たせいたしました! いよいよ本日のメインイベント! ポンプのメンテナンスの現場へと向かいましょう。鉄の重たい扉をキィー~と開けて、早速中へGO! ここから先は、もちろん「関係者以外立ち入り禁止」です。

滅多に見られない場所への突撃が叶い、気になる隊、俄然テンションが上がります。ドキドキ…。

今回、気になる隊の面倒を見てくださったのは、弊社メンテナンス本部の田中部長、前嶋主査、そして入社1年目の久本さん。まず、案内されたのは、汚水処理設備室。広大なスペースに大きなタンクがいくつも立ち並ぶ姿は、出会い頭の衝撃としては充分すぎる程の迫力でした。

ここでは、可燃物から出る汚水を、キレイで安全な水にするための様々な処理が施されています。冒頭の清掃工場の全体図と照らし合わせると、「どんな仕事なのか」が本当によくわかりますね。

汚水処理といっても実に様々。たとえば、塩酸や苛性ソーダを使って排水のpH調整を行ったり、汚水処理の最終工程として、次亜塩素酸ソーダを使って殺菌するというように、用途に合わせてタンクには違う薬液が入っています。それを一定量注入していくわけですが、もちろんここでもイワキの定量ポンプが大活躍しているのです!

すでにキョロキョロしまくっている気になる隊でしたが、優しく誘導してくれる田中さんの後に続き、2階の汚水処理電気室へと移動します。途中、鉄製の階段を昇り、格子でできた床(下が見える!)を渡り・・・高まる緊張感! おお、ここですね! またまた重たそうな鉄の扉の前に到着です。

果たして、扉の向こうに待っているものは?!

イワキのメンテナンスサービスとは一体、どのようなものなのか?

気になる続きは≪後編≫にてお届けいたします。乞うご期待!

<つづく>

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