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こんなところにイワキです
このコーナーでは、イワキの技術力が支える様々なジャンルをご紹介しつつ、その製品が使われている分野が意外なほどに広いのだということをお伝えしております。ご存じのように、ケミカルポンプというものは、製造ラインの片隅で人知れずコツコツ働く地味な存在です。
果たしてイワキのポンプたちはしっかりやっているのか・・・本当にお客様のお役に立てているのか・・・親心ならぬ“メーカーゴコロ” とでも言うのでしょうか(え?言わない?!)。何はともあれ、いつも我々はポンプのことを気にかけているのであります。
ですから、実際にイワキのポンプをお使いいただいているお客様のお話を伺えるとあらば、地球の裏側にでも飛んで行きたい気持ちなのですが(笑)、今回は金沢からほど近い石川県白山市の「アイナックス稲本株式会社」様が取材をお受けくださる運びとなり、メルマガ編集部こと「イワ気になる隊」の面々は、一路金沢を目指すこととなりました。
北陸新幹線のおかげで、上野~金沢間はわずか2時間25分・・・日帰りできる近さですよね。いえいえ、もったいないので日帰りなどいたしませんよ。「金沢」を丸ごと楽しむ意気込みで、いざ出発です!
今回、快く取材をお受けくださった「アイナックス稲本株式会社」様は、業務用洗濯機他クリーニング機械では業界シェアNo.1の総合メーカーさんです。
石川県・・・業務用洗濯機・・・もしかしたら、このワードで“ピン!”と来た方もいらっしゃるかもしれませんね。じつは(2017年)4月16日にTBS系列でオンエアされた『がっちりマンデー!!』にもご出演された有名企業なのです。その回のテーマは「最新の儲かり「業務用電気機器」!その名も「業電」! バカ売れ!電車よりデカい「洗濯機」!?突然凍る「冷蔵庫」!?」でしたが、あの人気番組と同じ会社を取材できるなんて、なんとも光栄じゃありませんか(*^^)v
無事金沢駅に到着したイワ気になる隊も、「がっちり」ならぬ「バッチリ!」取材をキメるべく気合いを入れ直したわけですが、その昔から「腹が減ってはなんとやら」と申します。まずは腹ごしらえかな(#^^#) というわけで、レンタカーに乗り込むやいなや、回転寿司店へと吸い込まれていきました(笑)。
北陸に来るとつくづく感じるのが「回転寿司」のレベルの高さです。最近はますます人気者となった高級魚「のどぐろ」。都内の“回らない”お寿司屋さんで食べたらいくらするんだろうと思わずお財布の心配をしてしまいますが、こちらなら安心価格でいただけます。
ついでに、好物のしめ鯖もいただいちゃおうかな。お昼からちょっと贅沢かしら?と思いつつオーダーしたら・・・なんとお寿司が「新幹線」に乗って運ばれてきましたっ!
と、早くも北陸の幸を堪能した我々は再び車に乗り込み、白山市を目指します。金沢駅から車で30~40分ほど、石川県の南部に位置する白山市は、市全域が白山手取川ジオパークとして認定されており、日本三名山にも名を連ねる「白山」のある風光明媚なところです。しかも徒歩で30分もかからず海に出られるそうで、山と海の両方を満喫できちゃう素敵な場所なんです。
幸いお天気にも恵まれ、気分上々で「金沢西バイパス」をドライブしていると・・・道路脇からいきなりブルーの爽やかな「inamoto」のロゴが目に飛び込んできました。想像以上の広さに動揺を隠せず、駐車場を探して、しばしウロチョロしてしまうほどでした (笑)。
さ、ここからが取材本番です(前置き長くてスミマセン)。大変お忙しい中にもかかわらず、常務執行役員・工場部門長の千葉様、工場長の山本様、生産管理部・購買課課長の谷内様、同じく生産業務課の山本(大輔)様の4名様がお出迎えくださいました。まずはこの場をお借りして、心からの御礼を申し上げたいと思います!
ちなみに、この取材をアテンドしてくださったのは、当社の代理店である「轟産業株式会社」金沢支店の山本(浩史)様。美しい山々に囲まれた社屋の会議室で、3名の「山本」様に囲まれ、いよいよ取材の始まり始まりで~す。
── 今回はこのような機会をいただけて、誠にありがとうございます。まずは御社について、教えていただけますか?
「じつは、アイナックス稲本株式会社は、今年でちょうど100周年になるんですよ。創業は大正6年4月。もともとは、稲本鉄工所といういわゆる「板金屋」でして、医療用、織機用、食品用などの器具などをつくっていたようです。意外かもしれませんが、石川県は食品用の機械メーカーなども多いんです。世界中で使われている回転寿司の装置の90%は、石川県で作られているんですよ。うちの向い側にも、回転寿司業界では有名なメーカーさんがあるんですけどね」
── 回転寿司なら、お昼にいただいてきました! 図らずも予習になりましたね(笑)。ところで、“板金屋”さんということは、創業者の方はいわゆる職人さんだったのでしょうか?
「我々は実際にお会いしたことがないのですが、たぶんそうだと思います。なんでも“白山”の山頂に、羅針盤(方位磁石)を設置した人物だそうですよ。いわゆるアイデアマンだったのかもしれませんね。こんなモノはつくれないか? という相談を持ち掛けられるかたちで、製品を増やしていったようなところがあります。
業務用洗濯機をつくり始めたのは昭和27年からなので、今年で65年になりますが、その頃から観光する人達も増え始め旅館やホテルなどのシーツや浴衣の洗濯機が求められるようになったためだと聞いています」
── ところで、「業務用洗濯機」とは、具体的にどのようなものなのでしょう? 我々素人は、街のコインランドリーにあるような大きな洗濯機を思い浮かべてしまうのですが・・・。
「ひと口に業務用洗濯機と言っても色々ありまして、現在当社では、コインランドリーやドライクリーニング用の洗濯機はつくっていないんです。もっともっと大きな洗濯機でして(と、会議室の壁にある製品ラインナップの表を指さす千葉常務)この画像だと小さな箱にしか見えないですが、一つひとつは人間が入れるくらい大きいものなんです。これなんか、説明なしではなんだかわかりませんよね?」
「これは『連続式水洗機』と呼ばれるものですが、1槽で60kg の洗濯物が洗えます。ご覧のように、ドラムがいつくも重なっているので、最初に投入したドラムで約3分洗うと次のドラムに移され、洗いで6槽、すすぎで4槽といった具合に「連続」して作業ができる構造になっているんです。つまり、10槽の『連続式水洗機』では最初の1槽目の60kg の洗濯物が出てから、30分で600kg の洗濯物が洗われ、濯がれて出て来ます。槽数は5槽から18槽までの『連続式水洗機』が有ります。
タオルやシーツだけでなく『玄関用マット』などの分厚いものから、酒造メーカーさんがお酒を濾すためにお使いになる『ろ過布』なども、難なく洗えます。また変わったところでは、パンティストッキングを染めるために某有名メーカーさんがお使いになったりもしています」
── 洗うだけでなく「染める」といった使い方もあるわけですね(驚)。なんだかイメージしていた洗濯機とはだいぶ違いました。
「時代と共に、お客様のニーズもますます多様化しているのですが、我々の技術の粋は『熱を加えながら回す』ところにあるわけです。
当社が業務用洗濯機をつくり始めた昭和27年当時は、まだ洗濯機があるご家庭は殆ど無かったと思います。その後、冷蔵庫、白黒テレビ、洗濯機が3種の神器としてもてはやされた時代になります。業務用洗濯機の国内メーカーはみな、アメリカやヨーロッパではすでに普及していた洗濯機を追いかけてきましたが、おかげさまで、業務用洗濯機の分野では『イナモト』ブランドのシェアが日本市場で約6割というところまできました」
── それは素晴らしいですね! イワキのポンプたちも、そんなトップシェアを誇るメーカーさんとタッグが組めて幸せ者です。ところで、御社の製品は、主にどんなところで使われているのですか?
「近年、めざましく需要が増えているのが、旅館やホテルのシーツ類(業界ではリネンと呼びます)を洗うリネン業と呼ばれる専門業者さんです。ご存じのように、2020年の東京オリンピックに向け、外国人観光客がますます増えていきますから、この業界はいわゆる“インバウンド需要”で大忙しなんですよ!
そして、もうひとつの主軸が、病院関係です。当然ですが、医療業界の衛生基準はとても厳しく、80℃で10分以上滅菌処理を行わなければならないといった国の基準があるんです。また、洗剤と一緒に『次亜塩素酸ナトリウム』などの薬品を注入して“滅菌処理”を行います」
── そこにイワキのポンプをお使いいただいているわけですね!
「はい(笑)! その昔は人の手によってその都度注入していたのですが、イワキさんの装置のおかげで、適切な量を自動で注入できるようになりました。
さらに、お客様が強酸性の薬物に手を触れる危険性も減るという利点もあって、とても助かっています。イワキさんとのお付き合いは、かれこれ30年くらいになるんじゃないでしょうか・・・」
定量ポンプLKシリーズ
※採用されているポンプは特注仕様のため写真とは異なります
── ズバリ、イワキをお選びいただいたポイントはなんでしょうか?
「当時の担当者がもう退職していないので、ぼんやりした情報なんですが、最初はお客様からのリクエストだったと聞いています。扱うのが水だけだったら、他社メーカーさんでも何ら問題ないのですが、やはり“薬品”が絡むと話は別でして・・・ケミカルな分野に強いイワキさんを選ぶ必然性があったのではないでしょうか。また、薬品を扱うとなると、液洩れのない“シール性”の高いポンプを選ぶ必要もあったと思います。うちの製品は、お客様ごとにカスタマイズした特殊仕様で出荷する場合がほとんどなので、ケースバイケースの相談に応じてくれる専門知識を持ったパートナーの存在はとてもありがたいわけですね」
── そんなふうに言っていただくと、ちょっと照れますね(#^^#) 逆にイワキへのクレームはないでしょうか? こんな機会もめったにないので、ぜひざっくばらんに教えてください。
「うーん、どうだろう? 品質管理にも問題が上がってきた記憶はないですね。価格が“高い”以外は、さしたるクレームはないんじゃないかな(笑)。
ただ、先ほどもお話したように、近年外国人観光客が増えたことで、リネン類に着く汚れの質が変わってきているんです。外国人の方は寝巻を着ないで裸のままお休みになる方も多いので、汗や皮脂などが直接シーツに着くわけですね。それに伴って、扱う洗剤の種類も増えてきたので、粉末洗剤の溶け残りで配管のパイプが詰まるといった問題も出てきているようです。イワキさんには今後も“ケミカルのプロ”として、ぜひ我々とは視点の違うアドバイスをいただければと思います」
── もちろん、イワキもがんばります!
── 最後に、御社の今後のビジョンをお聞かせいただけないでしょうか?
「最初に今年で100周年と申しましたが、経営的に大きな転機を迎えたのは、住友商事株式会社の経営参加を得て、アイナックス商事株式会社(現:株式会社アイナックス)を設立した昭和45年でしょうか。その後、米ワセックス社と技術提携をしたあたりから、業務用洗濯機の業界では一目置かれる存在になれたんじゃないかと思います。じつは、今年(2017年)7月1日を持って、製造部門を担当してきた稲本製作所と販売部門を担ってきたアイナックスが統合され『アイナックス稲本株式会社』として生まれ変わるのですが、これを機にますます進化できればと考えています。
近年、お客様から求められるキーワードは『環境』と『省エネ』ですね。我々の業界はどうしても熱と無縁ではいられませんから、水量、蒸気、電気エネルギー、そして人間のパワーがうまくバランスを取って発展していけるような製品をつくること、いや、製品という『ハード』だけでなく、それを使うためのシステムづくり、すなわち『ソフト』も含めたご提案をしていける会社を目指していきます!
話だけじゃよくわからないでしょうから、お時間の許す限り、現場も見て行ってください。ここ(白山市源兵島)だけでなく、近くの松本町にも工場とテクニカルセンターがあるので、よかったらご案内しますよ」
── ありがとうございます。じつは、大人の「工場見学」、楽しみにしてきました。ぜひよろしくお願いいたします!
・・・と、気を持たせておいてなんですが(笑)、工場見学編は後編のお楽しみということで。
後編へ続く
アイナックス稲本株式会社
創業 | 大正6年 4月 |
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本社・工場 | 石川県白山市源兵島町948 |
テクニカルセンター | 石川県白山市松本町1268-10 |
主な事業内容 | 業務用洗濯機、乾燥機、仕上機、繊維加工機、及び関連機器の製造 |
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