このコーナーでは、ポンプにまつわる様々な「専門用語」にスポットを当て、イワキ流のノウハウをたっぷり交えながら、楽しく軽やかに解説します。今まで「なんとなく」使っていた業界の方はもちろん、専門知識ゼロでもわかる楽しい用語解説を目指しています。文末の「今日の一句」にもご注目ください。クスッと笑えて記憶に刻まれるよう、毎回魂を注いで作っております。

今回の用語は前回に引き続き>>>>> 切換弁

【切換弁】Switching valve
エアー圧シリンダやエアー駆動ポンプなどへ圧縮エアーを供給するための制御弁。
圧縮エアーの流れる方向(供給・排出)を制御する弁。
切換え方法として、「電磁式」や「機械式」などがある。

前回は「切換弁の概要」をお届けいたしました。今までボンヤリと見ていた切換弁の役割が、よりハッキリしたのではないでしょうか?

今回はさらに細かく、より具体的に切換弁にぐいぐい迫ってみようと思います。長年ポンプの世界に身を置く方も、これほど長い間、切換弁のことだけを考えて過ごす経験を持つ方も少ないと思いますが、寄れば寄るほど、見れば見るほど、けなげに働く切換弁が愛おしく思えてくるもの。今回も愛情たっぷりに、切換弁について熱弁をふるってみたいと思います(なんつって)。

さて、今回は切換弁の内部にある「スプール」を動かす“方法”に熱い視線を注いでみます。早い話が「どうやって動かすの?」ということですが、いくつか方法がある中、ここでは代表的な「電磁式」と「空気式」の2つを取り上げました。それぞれに「得手不得手」がありますので、ひとつずつ丁寧に見ていきましょう。

電磁式切換弁(電磁弁)

電磁式の切換弁は、一般的には「電磁弁」と呼ばれています。電磁石のON(通電)とOFF(非通電)でスプールを引っ張ったり離したりすることで、空気の通る道を交互に切換えます。

とにかくハッキリとした性格の持ち主で、「くっつくか離れるか」「右か左か」といった、常に二択の人生を送っています。そんな竹を割ったような性格のおかげで、確実に素早く切換えが行なわれ、常にきちんと空気の通り道が出来上がるのです。しかも几帳面に仕事をきっちりこなしてくれますから、「電磁弁に任せておけば安心ね♪」と、実に頼りになる存在なのです。

しかしながら、しっかりモノの電磁弁にも、唯一弱点があります。それは、「電気がなければ動かない」ところ。電気がなくても動くのがメリットのひとつであるエアー駆動ポンプにとって、若干矛盾を感じるところであり、使える場所も限られてしまいますが、物事常に光り在れば陰あり。弱点と思っていたところを逆に強みとして、活用することもできるのです。

「電気がないと動かない」を違う角度で見てみると、「電気を使って動かす」となりますね。ということは、電磁弁の近くには、必ず電気が存在するということです。ですから、電気で動く他の機器をつないで使うということも、楽勝ぷいぷい。お茶の子さいさい。

例えば、電磁弁に電気信号が出せるカウンターをつなげば、「何分間に何往復したか」を記録することが可能になります。よって、何リットル流れたかを正確に把握できるのです!

やるじゃん、電磁弁!

エンジニアより一言 シングルソレノイド型とダブルソレノイド型について

  • シングルソレノイド型電磁弁:スプールを動かす電磁石が1つで、2位置型のみ。

シングルソレノイド型

  • ダブルソレノイド型電磁弁:2つの電磁石でスプールを動かし、2位置型と3位置型がある。3位置型は電磁弁を非通電にすることでスプールが中立位置になる。3位置5ポート電磁弁の中立位置には3種類あり、それぞれ使用目的や動作が異なる。

ダブルソレノイド型

非通電の中立位置で全てのポートの供給・排気を止める

非通電の中立位置で供給を止めて、両方排気とする

非通電の中立位置で排気を止めて、両方供給とする

空気式切換弁

一方の「空気式」は文字通り空気圧を利用してバルブの両端で差圧を発生させて切換えを行ないます。電磁弁と比べると構造がシンプルで扱いも簡単。なにより「電気不要」である事が最大の強みです。圧縮エアーさえあればどんな場所でも、例えば防爆地帯や火気厳禁の場所、或いは水の中でも、安心安全にポンプを動かす事ができるのですから、「空気式に任せておけば安心ね♪」という、これまた実に頼りになる存在なのです。

しかしながら、空気式にもやっぱり弱点があります。それは、電磁弁ほどキッパリとしていないところ。切換弁の中にあるスプールが、稀に中途半端なところで止まってしまうことがあるのです。

右か左か、どっち付かずのところで切換弁が止まってしまうと、空気の通り道もどっちつかずとなり、結果、ポンプが動かなくなってしまいます。これを「中間停止」と言います。

エンジニアより一言 中間停止について

空気式としては、スプールとスリーブはエア-が漏れない様にシールする構造となっています。又、スプールの切換えには、スプール両端に発生させる差圧で切換えています。従って、中間停止となる場合

① スプールもしくはスリーブが消耗(寿命)

⇒ スプールとスリーブのシール力が弱くなる
⇒ 隙間から漏れるエアーの量が多くなる
⇒ スプールの切換えを補助する為のエア-圧力が不足する
⇒ 中間停止

② 供給エアー圧力や風量の変化

⇒ 差圧発生時に差圧が小さくなってしまう
⇒ スプールの切換えができなくなる
⇒ 中間停止

注)エアー駆動ダイヤフラムポンプTC型が中間停止した場合は、供給エアーをOFFにしてから「リセットボタン」をおしてください。スプールがリセットされます。供給エアーONで作動します。

ちなみに、空気式の切換弁にも、カウンターをつけて流量を把握することもできますが、カウンターはおおむね電気で動きますので、電気に頼らずにカウントするとなると、野鳥の会の皆さんにお願いすることになりそうなので、それも現実的ではありませんね。※

また、切換弁はカバーの中にあり、実際に中間停止を起こしているかどうかは、目視することができません。よって、通常の動作チェックは「音」で判断するのも、空気式の特徴です。

と、電磁式と空気式、ふたつの方式の切換弁を見てきましたが、ここまで読んで「どっちも頼りになる存在だって言ってるじゃん!」と、突っ込みを入れたくなったあなた!素晴らしい!よく本文を読んでくれています。ありがとうございます。

そうなんです。どちらも頼りになる存在であることは間違いないのですが、ただ「タイプ」が違うんです。例えるなら、電磁弁は電気を使う分、いろんなことができるインテリタイプ。空気式は圧縮空気さえあれば「他にはなんもいらねー」と言ってくれる、野性味溢れるワイルドタイプ。どちらが良い悪いも、優劣もありません。大切なのは、それぞれの特性をよく理解して、エアー駆動ポンプを「適材適所」で使っていくこと。人間もポンプも、持って生まれた才能を、いかにのびのびと活かせる環境で使うかが“キモ”なんですね。

エアー駆動ダイヤフラムポンプTC型は、空気で作動する「ニューマチックカウンター」がオプション設定されています。遠隔管理はできませんが、ポンプに取り付けて積算カウントを見る事ができます。

今日の一句

人もポンプも個性が大事。「得手」を延ばして「不得手」をカバー。天賦の才能を活かすも殺すも、あなた次第の環境次第。適材適所で使ってね♪

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