このコーナーでは、ポンプにまつわる様々な「専門用語」にスポットを当て、イワキ流のノウハウをたっぷり交えつつ、楽しく軽やかに解説。今まで「なんとなく」使っていた業界の方はもちろん、専門知識ゼロでもわかる楽しい用語解説を目指しています。

さてさて「ポンなる用語」も今回で3回目。とかく無味乾燥になりがちな用語解説ですが「意外と面白い!」と、各方面から好評をいただき、さらにやる気になっているメルマガ編集部なのでありました。では、本日の用語もハリキッてお届けいたしましょう!

今回の用語は>>>>>エアーチャンバ

【エアーチャンバ】 air chamber
チャンバとは「小さな部屋」や「室」といった意味。ポンプ用語におけるエアーチャンバは、容器内の空気の圧縮性を利用し、ポンプの脈動や配管振動を抑え、安定した液体の流れを作り出す装置(容器)のこと。

前回説明した「背圧弁」は、「流れ出したら止まらないぜ!」という液体の勢いをなだめ、いい具合に調整してくれる装置でした。背圧弁のおかげで定量ポンプの命である「定量」の部分が、うまく行くのだと言っても過言ではありません。

しかし、人間だって一人より二人、二人より三人。一本ではすぐに折れてしまう矢も、三本束ねればより強固なものになると教えてくれたのは毛利元就(もうりもとなり)ですが、その三本の矢のごとく、より安定した、上質な定量供給を可能にするのが、エアーチャンバなのです。

往復動ポンプが液体を吸い上げ、吐き出す際には、どうしても「脈動」が発生します。これは心臓をイメージすればよくわかりますね。「とっくん、とっくん♪」というリズムがあるからこそ、心臓が吐出した血液が、体内の隅々まで巡っていけるのです。

この脈動を伴ってお役目を全うするのが、容積式往復動ポンプすなわち定量ポンプです。液体を吸い上げたあと、一気に吐き出す際に「どくん♪」となるのですが、いくら賢いポンプといえども、吸い上げながら吐き出すという器用なことはできません。「吸って」「吐いて」を波形で表すと、こんな感じになります。

容積式往復動ポンプ 吐出・吸込波形イラスト

この波を空気の力で均一にするのが、エアーチャンバのお役目です。チャンバ内は液体が配管を流れて来た際に、いったんチャンバ内に「くいっ!」と液体を溜め込みます(つまり、空気が圧縮されます)。

そして、ポンプが吸い上げている間(=吐き出されない間)に、そのチャンバ内に溜めた液体を、ポンプの代わりに吐き出すのです。その様子たるや、まさに「阿吽(あうん)」の呼吸!!

このポンプとの絶妙なやりとりのおかげで、往復動ポンプの宿命でもある脈動が緩和され、常に一定量の液体が穏やか〜に、そして安定して流れていくわけです。ちょっと時期がずれてしまいましたが、お正月の「餅つき」にも通じるものがありますね。杵を打つ人。お餅をこねる人。息があった2人の動作が生み出すあの軽快なリズムで、ひとつの仕事を全うする−−−とっても素敵な話じゃありませんか。

エアーチャンバー

装置の中に、気心知れた相棒がいるからこそ、ポンプも安心して使命を全うすることができるんですね。ちなみに、イワキではオプションでいろんなサイズのエアーチャンバをご用意しており、用途や目的にあわせてお選びいただけます。

さて、エアーチャンバを使う際には、2つの注意があります。

1つ目は、チャンバ内の空気量です。空気は液体に溶ける性質を持っているので、定期的に空気を補充してあげないと、阿吽の呼吸が乱れてしまいます。定期的なメンテナンスを心掛けましょう。

2つ目は、「安全弁」を必ず設置することです。配管の詰まり、バルブの開き忘れなどにより閉塞された場合、定量ポンプは理論的には無限大に昇圧します。それにより、もしエアーチャンバが破損した場合、圧縮した空気が持つ大きなエネルギーにより、大事故に繋がる恐れがあるからです。

エアーチャンバについては、第6回目の「ポンプなるほど」でも取り上げています。あわせてご覧ください。より「なるほど度」がUPすること請け合いです (*^^)v

▼ポンプなるほど(第6回)【ポンプの脈動】
http://www.iwakipumps.jp/blog/naruhodo/06

推奨配管例(押し込み配管の場合)

今日の一句

お前が吸うときゃオレは出す。お前が出すときゃオレは吸う。
阿吽の呼吸で仕事を助けるエアーチャンバはポンプの相棒♪

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