このコーナーでは、ポンプにまつわる様々な「気になる」キーワードにスポットを当てて、イワキならではのノウハウで、楽しく解説していくことを目指しています。

今回のキーワードは>>>>> ズバリ!【スラリー液の移送】

液体の中に固体を混ぜ合わせたものを「スラリー液」といいます。その固体の大きさ、重さ、硬さ、混合される分量、また形状が尖っているのか丸いのか・・・などがスラリー液を移送する際の重要な要素であり、それによって最適なポンプを選ぶ必要があります。

スラリー液の濃度が濃くなるほど固形分は多くなり、ポンプ内部を移動するときに周りの金属などを削り取ってしまいます。インペラ式やギヤ―式のポンプでは、短期間で部品の摩耗により隙間が大きくなりリーク量が増えるため、安定した移送ができなくなる場合があります。

それでは、スラリー液移送に最適なポンプを少しご紹介しましょう。

スラリーが大きくて硬い場合

バルブ構造のダイヤフラム式ポンプは、バルブ部に詰まりを起こしやすく移送が難しくなります。

この場合はホースポンプが最適です。ホースポンプは、生コンクリートや鉱山の排水処理などに使用され、液体と同時に多少の小石なども移送することができます。

またバルブ構造がないため、チャッキ作用によるせん断が少ないことから、養魚場の金魚を移送している例もあります(他に、生姜のガリ、もずく、ミカンのさのうなど)。

ホースポンプの作動原理

1-ロータに取り付けられた2つのプレッシングシューが、ポンプホースに沿って摺動します。ロータが回転すると、ポンプホースはシューにより押しつぶされ、ホース内の流体は強制的に押し出されます。

2-押しつぶされたポンプホースがシューの圧縮から開放されると、その強力な弾性復元力で発生する真空によって流体が吸入されます。

スラリーが小さくて硬い場合

最近では少なくなりましたが、ビデオテープの磁性材料の水溶液をポンプで送ることも可能です。

あの茶色のテープにはミクロン単位の磁性材料が塗布されています。かつては鉄製の歯車構造のギヤポンプが使用されていましたが、摺動面が研磨されてしまうため短期間でポンプを交換していました。

当社の初期のケミカルギヤポンプは、主要部品に磁性材にも耐えるジルコニアを使い飛躍的にポンプ寿命を延ばしました。

中央の白い歯車(ピニオン)がジルコニア。現在ピニオンの材質には炭化ケイ素を採用しています。

スラリーを定量ポンプで送れないの?

いいえいえ、送れます! たとえば下水処理場などでは、細かい固形物を吸着し沈殿下させる工程があります。

その時に使用するのが『高分子凝集剤』です。高分子凝集剤は固形物や粉状の物質を0.1~0.2%の水溶液にして、液体の中に浮遊している不純物を絡め取る役目をしている白色のスラリー液です。

これを扱うための定量ポンプは、液通過をスムーズにするため専用のバルブが使用されています。

「脱水ケーキ」って?!

「ケーキ」などと聞くと、思わずおやつの時間を想像してしまうかもしれませんが、こちらのケーキは水溶性の低い汚水や汚泥をフィルタープレスという布で絞る、ろ過脱水の後にできるものです。種類にもよりますが、建設材料や園芸材料として再利用されています。

この脱水ケーキがポンプで扱えるかどうかを確かめるのに手を使う場合があります。

手のひらに載せてグッと握った時、指の間からそのケーキがはみ出てくれば「ポンプでの移送が可能」と判断できるのです。

その際の含水率は80~85%くらいでしょうか。

手のひらに載せてグッと握った時、指の間からそのケーキがはみ出てるイメージ写真

もし、移送物に湿り気がない場合、ポンプ配管の中はものすごい摩擦抵抗が発生してしまいます。そのため、スムーズな移送ができなくなります。一般的に含水率が80%前後であればポンプ移送ができると考えています。

脱水ケーキやスラリー液の移送に最適な構造を持ったポンプは「一軸ネジポンプ」です。100万mPa·sもの高粘度液や高濃度のスラリー液も取扱え、脈動・撹拌・泡立ちもなくスムーズな移送が可能です。

こうして、ポンプで扱える流体に関する正確な知識持っていれば、用途にピッタリなポンプを選べるようになるわけです・・・ポンプ、奥深し!

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