このコーナーでは、ポンプにまつわる様々な「気になる」キーワードにスポットを当てて、イワキならではのノウハウで、楽しく解説していくことを目指しています。

今回のキーワードは>>>>> ズバリ!【ポンプのコントロール】

これまで一緒に学んできたように、様々な「流体」を「移送」するのが、ポンプのそもそものお役目です。しかしポンプは「ただ運ぶ」だけの役割に満足せず(?)、その流量を制御することで、適切な量を適切な時間で目的の場所まで運ぶ、という自らの機能を高めてきました。そこで今回はポンプの「コントロール」という側面にスポットを当て、そのコントロールの仕方にもいろいろあることを知ってほしいと思います。

ポンプの流量調整

渦巻きポンプの流量調整をする場合、吐出側(出口側)のバルブの開度の大きさで調整するのが一般的です。言われてみれば当たり前のことですが、バルブを大きく開けば流量が多くなり、小さくすれば少ない量になりますよね。

では、なぜ「吸い込み側」ではなく「吐出側」で流量調節をするのでしょうか?
あらためてそう聞かれると、一瞬答えに困ったりしませんか?

中・大型マグネットポンプ 推奨配管例のイラスト

答えは、吸込バルブを絞ると圧力が低下してキャビテーションが発生してしまうためです。キャビテーションとは圧力低下に伴う液体の気化、つまり沸騰と同じような状態のことを言います。ひとたびキャビテーションが発生すると渦巻きポンプは仕事を伝達する担い手である液体を失うため、ポンプの性能は著しく低下し、様々な弊害をもたらします。マグネットポンプに限らず、渦巻きポンプでは吸込側のバルブを操作することは厳禁です。

ポンプの流量を制御するには

渦巻きポンプや回転容積ポンプは、インバータモータの回転数を変化させることで流量を調整することができます。回転数を高くすれば多くなり、低くすれば流量が減ります。
マグネットポンプとインバータの写真
往復動ポンプの場合は、プランジャーやダイヤフラムが往復する距離(以下ストローク長)を長くしたり短くしたりすることで流量を調整します。往復運動の回数(以下ストローク数)でも流量を調整することができます。
ポンプのストローク長をダイヤルで調節している様子

ストローク長調節ダイヤル

ポンプの流量を自在に調整するポンプコントローラ

プロセス仕様の定量ポンプは、専用のポンプコントローラを使い流量を自在に調整することができます。

プロセス仕様の定量ポンプ専用のポンプコントローラを使い流量を自在に調整する説明イラスト

センサが検知した注入点の情報により、コントローラはポンプが適正流量を移送するために、インバータを介してモータの回転数を変化させストローク数を調整します。

電磁定量ポンプは、pHの濃度に比例して自動注入をしたり、一定量を一定の時間注入したりする時間制御などが可能な、デジタルポンプコントローラを搭載している機種があります。用途に応じて多彩なポンプコントロールが行えます。

デジタルポンプコントローラを搭載している機種

最近ではポンプ搭載のコントローラと制御モータにて吐出行程の速度のみを変化させることで、なんと1:750という幅広い流量設定範囲を実現したものが登場しました。もちろんポンプ搭載のコントローラで用途に応じた多彩なポンプコロントロールが行えます。

多彩なポンプコロントロール

オンラインでポンプを制御

ハイエンドなコントローラとしてはオンラインで遠隔監視が可能なコントローラがあります。データの取得やプログラムの設定などをWebブラウザ上で行うことができるので、インターネットを介して世界中のどこからでもアクセスすることが可能です。

このように、ポンプはその「コントロール」においても、常に進化を続けているのです。
ポンプ奥深し・・・

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