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ポンプなるほど
このコーナーでは、ポンプにまつわる様々な「専門用語」にスポットを当て、イワキ流のノウハウをたっぷり交えながら、楽しく軽やかに解説します。今まで「なんとなく」使っていた業界の方はもちろん、専門知識ゼロでもわかる楽しい用語解説を目指していますので、気楽に読んでいただければ幸いです。
また、文末の「今日の一句」にもご注目ください。クスッと笑えて記憶に刻まれるよう、毎回魂を注いで作っております。
モーターを使用しない電磁駆動式の容積ポンプで、液体を定量的に移送する。駆動源には鉄などの周りにコイルを巻き電流を流すことで、一時的に磁力を発生させる電磁石を用いる。電磁石がプランジャコア・プランジャピン・ダイヤフラムに往復運動を作り、ポンプ室に容積変化を起こすことで液体を移送する。
もっとも身近な往復動ポンプといえば、みなさんご存知の注射器です。「え?注射器もポンプなの?」とお思いになるかもしれませんが、そうなんです。立派なポンプなんです(キリ!)。
注射器の先端を液体につけて、プランジャーをぬぅ〜〜〜と引くと、シリンジの中に液体が入っていきます。そしてプランジャーをのぉ〜〜〜と押すと、筒先から液体がぴゅ〜と出て行く・・・これが基本的な動きです。ま、一言でいうと「ピストン運動」ですね。
こんなにも注射器をマジマジと見る機会も少ないと思いますので、いい機会ですからついでに部品の名前も覚えておきましょう。へぇ〜、そんな名前なんだ・・・と思う人も多いはず。まずは頭のウォーミングアップです。
引くと入る、押すと出す。この動きが往復動ポンプの根本です。プランジャーをいっぱい引けば、シリンジ内にはいっぱい液が入り、ちょっとしか引かなければちょっとしか入らない。これも往復動ポンプの宿命です。
ちなみに、なんで液体がシリンジの中に入っていくのかというと、プランジャーがピストン運動することで、シリンジの中の圧力が変化するからです。液体は気圧の高いところから低いところに有無を言わせず流れる性質を持っているので、
という現象が起こるのです。
注射器なら人の手で簡単に押したり引いたりできますが、1日8時間、ずーっとプランジャーを押したり引いたりする人生など、誰が選択するでしょうか?! しかも人手不足の昨今、私たち人間にはもっと他にやらなければならない仕事がある! ということで、人力に変わる何か他の力を使って、往復動させたいと思うのが世の常、人の常であり、この気持ちこそが発明の母です。
もうおわかりですね。「はい、その往復動、電磁石くんの担当ね」としたのが、電磁式ポンプです。電磁石は、小学校の理科の実験で作ったことがあるかと思いますが(懐かしいですね)、鉄などの周りにコイルを巻きつけ、そこに電流を流すことで 一時的に磁力を発生させる磁石のことです。
ポンプの駆動部は実にシンプル。主にコイル、スプリング、鉄心(プランジャコア)で構成されており、次のような仕組みで往復動を行います。
注射器のように液を吸い込む部分と吐出する部分が同じでは、産業用のポンプとしては役に立ちません。タンクAから吸った液体を、もとのタンクAに吐き戻していたのでは、一体なんのために吸ったり吐いたりしているのかわかりませんよね。
産業用ポンプの使命は、「ここにある液をどこかよその場所へ」移送すること。タンクAからBへ。そしてその移送をいかに「スムーズに」お届けするかも、ポンプの大事なミッションです。そのためには1つのポンプで2つの口、つまり「吸込口」と「吐出口」をコントロールする機構が必要になります。その機構の“要”になるのが、「バルブ」です。
バルブはポンプヘッドと呼ばれる液体が流れる部分に組み込まれています。ゴムなどでできたバルブシートの上に、セラミックなどでできたバルブボールが乗り、その上にバルブガイドが被さって構成されています。こんな感じですね。
それでは実際に液体が流れた際にバルブがどのような動作をするのか、説明しましょう。
まず、バルブの上側から液体が流れ込もうとすると、 バルブボールはバルブシートに押し付けられます。バルブボールとバルブシートがピタッと「蓋」をして、液体は流れなくなります。
次に液体が下側から流れ込もうとすると、今度は逆にバルブボールが浮き上がります。するとバルブガイドの隙間から液体が流れます。(下から上にしか液体が流れないようになります)
「ダイヤフラム」は駆動部からの往復運動をポンプ室で行う、ゴムや樹脂などの柔軟な素材でできた部品です。プランジャではなくダイヤフラムを使用することで、軸シールの摩耗による液モレをなくしたり、異物の混入を防ぐことができます。
ポンプ部にダイヤフラムとボールバルブが組み込まれた際、それぞれがどのように動作し、液体がどのように移送されるのか? 実際に見てみましょう。
ダイヤフラムが押し出されたとき、ポンプ室内の圧力が上がるとともに、ポンプ室内の容積が減り吐出側より液体が吐き出されます。逆にダイヤフラムが引き戻され、ポンプ室内の圧力が下がるとともにポンプ室内の容積が増えて、吸込口より液体が吸い込まれます。
電磁石によるダイヤフラムの往復運動。液体の流れを一方通行にするバルブ。これらを利用してポンプ室内の容積・圧力を変化させて液体を移送するのが、電磁定量ポンプの基本構造です。
ね。意外とシンプルでしょ♪ この構造をしっかり覚えておいてくださいね。
それでは、次回もお楽しみに。
今日の一句
磁石の力でボールを操る敏腕ジャグラー 電磁定量ポンプ
電磁定量ポンプ EHN-Rシリーズ(標準タイプ)
電磁定量ポンプ EHN-H(高圧タイプ)
電磁定量ポンプ EWN-Wシリーズ(水質制御用)
電磁定量ポンプ EH-Eシリーズ(大吐出量タイプ)
電磁定量ポンプ EWN-Yシリーズ(電磁式流量センサ搭載)
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