このコーナーでは、様々な分野で使われているイワキのポンプの中から、「え?こんなところに?!」と思っていただけるポンプの現場にスポットを当て、いろんなシーンで活躍するポンプを紹介しています。

ここは北アルプスに囲まれた自然豊かな安曇野。早朝からいちご農家「ナッツベリーフィールド様(以下、ナッツベリー様)」を訪れ、いちご作りの現場と、陰で支えるイワキのポンプを見せていただきました。ナッツベリーさんが手がけるのは、甘くて綺麗でおいしい夏いちご。お話を聞くうちに、どんどん「夏いちご応援団」になっている自分たちに気づきます。

≪安曇野の夏いちごを育てるポンプ ・前編≫

良き理解者との出会いで、目指す道がさらに明確に

── ところで、ナッツベリー様は「そのまま食べてもおいしい夏いちご」づくりがテーマだとお聞きしたのですが・・・

吉武「はい。夏いちごは主に加工品、ジャムやお菓子などに使われてきました。うちでもジャムは作っていますが、やはりいちごですから「そのまま」食べたいじゃないですか。そしてそのまま食べるなら、甘い方がおいしいでしょう」

── そうですね。甘酸っぱいのもおいいしですが、酸っぱすぎるのはちょっと・・・

吉武「ですよね。でも、夏いちごは冬のいちごに比べるとどうしても酸味が立つ。〝だから生クリームに合うんだ〟という人もいるんですが、私はそのあたりがモヤモヤしていいたんです。クリームの甘さに合わせて、いちごを作りませんからね」

「おいしいいちごを作りたい」「夏いちごの価値を高めていきたい」―――その一心で研究を重ねてきたナッツベリー様。努力をしている人の前には、良き理解者が現れるもの。ナッツベリーさんのいちごを高く評価してくれるケーキ屋さんに出会います。それがパティスリーチーア様。安曇野で人気の高い手作りケーキのお店です。

詳しい話は後半に譲りますが、店主の守屋さんとのお話の中で、吉武さんの進む道がバチッと決まったんだそうです。

吉武「チーアのご主人は〝果物は甘い方が絶対においしい〟。そうなんの迷いもなく言い切ったのです」

チーア様のご主人も「ザ・職人」というタイプで、自分が納得したケーキしか作らないという信念の人。長年ケーキを作り続けてきて、生クリームが甘すぎると言われることはあれど、〝果物が甘すぎる〟というクレームは今までに一度もありません。

吉武「果物に合わせてクリームを作るのがケーキ屋だ。そう言ってくれたとき、今まで胸の中にくすぶっていたモヤモヤが晴れたのです。そうだ、その通りだ。ケーキに合ういちごを作るんじゃない。ただ純粋においしいいちごを作ればいいんだと。そう思ったんです」

ビニールハウスでいちごを栽培

そのまま食べてもおいしい夏いちご

以前は「夏のケーキにはいちごを使わない。なぜなら美味しくないからだ」と断言していたチーア様も、今ではナッツベリー様のいちごのおいしさに納得し、継続して使ってくれているそうです。だからこそこちらも生半可ないちごをお出しできない。この素敵な緊張感があるからこそ、お互いを高め合っていけるのでしょう。

一体、それはどんなケーキなのか?! この目で確かめて見なければ! 興味津々となったイワ気になる隊は、ここでナッツベリー様に別れを告げ、パティスリーチーア様へと向かいます。

吉武さま、収穫のお忙しい時間にも関わらず、長時間お付き合いいただきありがとうございました! ポンプのことで何かありましたら、いつでもお声がけください。すぐに浜田さんが駆けつけますから!

圧巻の田んぼアート

パティスリーチーア様に向かう道すがら、安曇野ならではの田園風景があると聞きつけ、「それは周辺取材として抑えておかねば」と、一路向かったのは安曇野スイス村。安曇野ICよりおよそ5分のところにあるドライブインで、お土産物はもちろん産地直売所も併設している観光スポットです。

でも、私たちのお目当ては、道路を挟んだ向かい側。「信州安曇野田んぼアート」です。一見普通の「田んぼ」なのですが、展望台に上がると・・・⁈

信州安曇野田んぼアート

このスケール感、写真でお伝えできているでしょうか? ものすごい迫力です。あまりに大きすぎて、カメラのレンズに収まり切れません。

田んぼ一面に描かれているのは、ただいま放映中のNHK大河ドラマ「いだてん」です。第五回記念信州安曇野ハーフマラソンの特別企画として、6月2日から9月29日まで開催されていました。

なぜ田んぼに絵や文字が描けるのか、とっても不思議だったのですが、色の違う稲が描き出していることを、皆さんご存知でしたか? 絵柄に使用されているのは「ゆきあそび」や「紫大黒」など8種類の古代米。黄色、紫、緑など、様々な色に育つ稲をしかるべき場所に植えることで、田んぼの中に絵が浮かび上がるのです。

色の違う稲で「田んぼアート」は描かれています

この色の違う稲たちで「田んぼアート」を描いているのです

稲の成長とともに田んぼアートの色合いも変化していく、まさに自然のキャンパス!田んぼのアート!

チャンスがあったら是非、生で見てみてください。感動することしきりです。

パティスリーチーアのケーキに魅入られる

安曇野の雄大な景色に癒されたイワ気になる隊一行。綺麗な空気を胸いっぱいに吸い込んで、元気一杯、やる気もいっぱい。いざ、パティスリーチーア様へ!

たどり着いたそこは緑に囲まれた一軒家。まるでヨーロッパの田園の中にあるような素敵な雰囲気に包まれていました。

パティスリーチーア様

まるでヨーロッパの田園の中にあるような一軒家

ドアを開けると、甘くていい匂いが・・・。そして目に飛び込んできたのは、色とりどりの美しいケーキたち! チョコレート、マンゴー、ピーチ・・・スイーツ魂がある方にとっては、まるで天国のような場所です。

今回ご一緒してくださったナッツベリーのNATSUKO社長とともに、パティスリーチーア店主の守屋さんにお話を伺いました。

守屋さんがこの地にお店を建てたのは、2000年10月。その前からパティシエの道を歩まれていたそうですが、昔は「夏のバースデーケーキづくり」には苦労したんだそうです。

守屋「僕がこの道に入った当初は、国産の夏いちごはなくて、輸入品を使っていました。正直おいしくないんです。硬すぎたり、中身がスカスカだったり。でも〝いちごのケーキ〟というお客様のリクエストにはなんとしてもお応えしなければなりませんからね」

その夏いちごに変化を感じたのは、ここ10年くらいのことだそうです。

守屋「安曇野の夏いちごは、格段においしくなっています。これなら使ってもいいな、と思えるレベルになったというか」

そんな時に、突然いちごを持って現れたナッツベリー様。不思議なタイミングでつながりました。

NATSUKO社長「うちで作ったいちごでホールのケーキを作って欲しい。そう言っていちごを持ち込んだのが、最初ですよね」

守屋「そうでしたね。うち、結構そういったリクエストが多いので、その時は普通にお受けしたことを覚えています。結構たくさん持ってきてくれたので、試食させてもらったんですが、びっくりするほど美味しかったんですよね」

NATSUKO社長「ありがとうございます。主人がこのお店を本当に大好きで、犬の散歩の途中でお店の前を通るたびに、〝ここで絶対使ってもらうんだ〟って言っていたんです。まだいちごを作ってない時期からですよ(笑)」

── それはすごい。夢を実現されたんですね。

守屋「実は飛び込みで〝使ってください〟という方は、結構多いんです。中でもいちご農家さんはたくさん来ます。中にはお値段頑張りますから・・・みたいなことを言う人もいらっしゃるんですが、うちはこのような小さなお店ですし、配達してくれないと使うことができません。でも、どこか無理があると、続かないんですよね」

せっかくできたご縁は長く続けたい。でも、どこか無理があると長続きしない。これは取引に限らず、すべての場面で言えることなのかもしれません。

守屋「その点ナッツさんは、実にタイミングが良いというか、自然体というか。小ロットの配達も自然に受け入れてくれましたし、何より品質が良いので、うちではずっと使わせてもらっています」

NATSUKO社長「そう言っていただけてうれしいです。これからも心して育てます」

守屋「今まで夏はほとんどいちごを使わずにやってきたんですが、ここ最近ですよ、いちごを使うようになったのは」

ナッツベリー様との出会いが、チーアさんのケーキのラインナップをより豊かさをもたらしました。今日も可愛いケーキの上にちょこんと乗っているのは、ナッツベリー様の「ペチカエバー」。ナッツベリー様とパティスリーチーア様の出会いをつないだ夏いちごです。

聞けば守屋さんも吉武さんも安曇野とは縁のない場所で生まれ育ったそうです。そんな二人がこの地で出会ったのも、いちごがつないだ不思議なご縁なのかもしれません。

スフレチーズケーキ

桃デニッシュケーキ

3人揃ってハイチーズ。左からナッツベリー様のNATSUKO社長、イワキ営業の浜田さん、パティスリーチーアのご店主守屋さんです。

素敵なお話、ありがとうございました!

ナッツベリーフィールド様のジャムに出会う

さて、ナッツベリー様の夏いちごを巡る旅の最後に訪れたのは、安曇野ワイナリー様です。ここでナッツベリー様が作っているジャムが販売されています。

2008年(平成20年)にオープンした安曇野ワイナリー様は、北アルプスを西に望む大自然の中にあります。広々とした敷地には自社畑があり、丹精込めて栽培したぶどうを使って「安曇野らしい」クリアで綺麗な味わいのワインを作っていらっしゃいます。

ワイナリーの前には美しく手入れされたぶどう畑が広がります。そこにはシャルドネやメルローなど代表的な品種がズラリと並び、可愛らしい実をつけていました。秋の収穫に向けて今、おいしさを蓄えている時期なんですね。

安曇野ワイナリー様

美しく手入れされたぶどう畑。収穫が待ち遠しい

あ、ありました! 店内の奥の一角に「ナッツベリーコーナー」が! ここ安曇野ワイナリー様は、ナッツベリーのジャムを最初に置いてくださった記念すべき場所なのです。地元のものを大切にしたいという安曇野ワイナリー様の心意気が感じられますね。

安曇野ワイナリー様での売り上げが好調なおかげで、今県内ではサービスエリアをはじめ数カ所、東京では銀座にある長野県のアンテナショップにも置かれているそうです。

ラベルも手作り。蓋に赤い紙を巻いたのも、緑のラベルをぶら下げたのも、すべて自分たちで考えたんだそうです。さらに売り場のディスプレイを考えるのもナッツベリー様のお仕事。季節に合わせてジャムを引き立てるレイアウトを考えているんだとか。今回はバゲットも一緒にディプレイされていました。

いろんな種類のジャムと並んでいましたが、赤い帽子をかぶったような佇まいは、ちょっとノスタルジックでひときわ目を引いていました。

ナッツベリーフィールド イチゴジャム

── ジャムはどのように作られるんですか?

NATSUKO社長「ナッツベリーですくすくと育った夏いちごのヘタをとってすぐさま冷凍して、県内のジャム工場に出荷しています。使っている品種は主にペチカですね。いちごの食感が楽しめるように、果肉が残る感じに仕上げています」

これを「プレザーブスタイル」というそうです。へぇ〜、勉強になります。

原材料も実にシンプル。いちごにグラニュー糖にレモン果汁だけ。余計なものを一切混ぜないのは、いちごの品質が確かだからこそできることなのでしょう。

安曇野ワイナリー様のご配慮で、贅沢にもぶどう畑をバックに写真を撮らせていただきました。これぞ「ナッツベリーフィールド」です!!

今、さらなる新しい展開を考えているというナッツベリー様。8月にはサマープリンセスと長野県産の希少な日本みつばちが集めた蜂蜜を使った「おとなジャム」が発売になりました。さらに10月にはセレクトショップ的通販サイトを計画中だとか。今後の展開が楽しみですね。

ナッツベリーフィールド様の「NAT’s」には、いろんな意味が込められているといいます。「夏いちご」のナツ、社長の名前である「なつこ」の「なつ」、そして長野県の「Na」と安曇野の「A」―――。安曇野の夢をたくさんのせて、大きく羽ばたいて欲しいと思います。その夢の実現をイワキもポンプを通して心から応援します!

ありがとうございました。

以上、「こんなところにイワキです」でした。

 

NAT’s Berry field (ナッツベリーフィールド)

所在地 長野県安曇野市三郷明盛3864
代表 NATSUKO(吉武 奈津子)
事業内容 夏秋いちごの生産販売、ジャム等加工品の販売

 

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